上信越の国境を越え、苗場山の麓から奥志賀の渓谷へ、離れ形式の宿を辿る二泊三日の旅を提案する。梅雨が明けたばかりの高原は、清水越えの冷気と笹川源流の水音に満ち、夏でも朝夕は涼やかである。新潟側の湯沢に一泊目を置き、清水を越えて長野・山ノ内へ入り、二泊目を奥志賀の懐に。標高差と気温差をその身で確かめながら、独立棟の静けさを五軒の宿に訪ねる旅程である。和の宿を旅慣れた読者へ、編集部が選んだ五軒を紹介する。

# 宿 エリア Score 客室 目安価格 1行特徴
1 仙壽閣 長野・上林温泉 94 34 ¥62–¥81k 1929年創業、数寄屋造りと本館・離れ・720ℓ/分の湯量
2 グランフェニックス奥志賀 長野・奥志賀高原 92 35 ¥66–¥106k 標高1,500mの渓谷リゾート、星空と自然体験
3 玉城屋 新潟・湯沢土樽 90 16 ¥20–¥24k 越後中里駅前、欧風田舎料理で名を成した小宿
4 苗場WEST 新潟・湯沢三国 90 13 ¥21–¥26k 一棟貸しの貸切コテージ、苗場高原の独立した時間
5 やまのまにまに 長野・奥志賀高原 88 6 全6室、食養料理とナチュラルワインの森のロッジ
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※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。

一日目 — 苗場山麓に発つ

梅雨明けの新潟側、苗場山の麓から旅は始まる。越後湯沢から上越線で土樽・三国の里へ入り、高原の涼気のなかで一夜を過ごす。料理で名を成した小宿に泊まるか、一棟貸しのコテージで家族の独立した時間を編むか。翌日の清水越えに備える、起点の二軒である。

3. 湯沢 玉城屋 — 新潟・湯沢土樽

苗場山の麓、土樽の里に料理で名を成した小宿がある。清水越えの起点となる、一泊目にふさわしい一軒。

Media Picks Score: 90 / 100  16室、離れ・独立棟の趣をもつ宿。

目安価格 ¥20,000–¥24,000 / 泊 (2名1室・通常期)


湯沢 玉城屋 — 新潟・湯沢土樽 · 越後中里駅前の名料理宿、欧風と和を結ぶ小さな一軒
PHOTO: 湯沢 玉城屋 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

湯沢 玉城屋は、苗場山の麓、土樽の里に立つ十六室の小さな宿である。JR越後中里駅から歩いてすぐという立地は、新潟側から清水を越えて長野へ向かう旅の起点にちょうどよい。選んだ理由は、何よりその料理にある。手づくりの欧風田舎料理を軸に、越後の山菜やきのこ、地の野菜を皿に編んだ献立は、規模の小ささを補って余りある。離れの趣を持つ落ち着いた客室と、昭和の気配を残す館内の空気も、土樽という静かな里にふさわしい。派手さはないが、料理を目的に旅する人ほど満たされる、一泊目の起点となる一軒である。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計したところ、当該地域で料理への評価が突出して高い宿として確認された。欧風と和を行き来する独自の献立と、季節の地の素材への向き合い方が、長く記憶に残るという傾向が読み取れる。小宿ゆえの行き届いた運営も支持されている。一方で、客室数が限られ、繁忙期は早めの計画が要る。駅至近という利点の反面、苗場の高原リゾートそのものへは車かバスでの移動を要するため、旅程に組み込む順序の工夫を勧めたい。

向く人 / 向かない人

  • 向く: 料理を旅の主目的にする人、越後の山の幸を味わいたい食通、清水越えの起点に静かな小宿を選びたい夫婦・友人連れ
  • 向かない: 大浴場や広い館内施設を望む旅程、苗場の高原リゾート内に滞在したい計画、大人数のグループ旅

具体情報

  • 最寄り駅: JR上越線 越後中里駅から徒歩約1分
  • 客室: 全16室(落ち着いた小宿)
  • 食事: 手づくりの欧風田舎料理・越後の山菜やきのこ
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
  • 立地: 苗場山麓・土樽の里


4. 苗場WEST 貸切コテージ — 新潟・湯沢三国

苗場高原の夏は涼しい。一棟ごとに区切られた貸切のコテージで、家族の時間を独立して過ごせる一軒。

Media Picks Score: 90 / 100  13室、離れ・独立棟の趣をもつ宿。

目安価格 ¥21,000–¥26,000 / 泊 (2名1室・通常期)


苗場WEST 貸切コテージ — 新潟・湯沢三国 · 一棟貸しのコテージと露天をもつ苗場高原の宿
PHOTO: 苗場WEST 貸切コテージ — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

苗場WESTは、苗場高原の三国に立つコンドミニアムと貸切コテージの宿である。選んだ理由は、まさにその「離れ」のかたちにある。一棟建てのコテージは独立性が高く、家族やグループが互いに気兼ねなく過ごせる。飲食の持ち込みも許され、自分たちの間合いで一夜を編める自由が、ほかの宿にはない魅力となる。岩露天の付いた内湯と、離れの露天を含む三つの浴場が温泉を満たし、日帰り入浴にも開かれている。苗場の高原は夏でも涼やかで、清水越えの一泊目を、家族の独立した時間に充てたい旅人に向く一軒である。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計したところ、当該地域で一棟貸しの独立性と、家族・グループでの過ごしやすさへの評価が高い宿として確認された。持ち込みの自由さと、複数の浴場をめぐる湯の楽しみへの言及が多く、自分たちの間合いを大切にする旅人に支持される傾向が読み取れる。一方で、コテージ形式ゆえに食事や運営は旅館の手厚さとは性格が異なり、自立した滞在を望む人に向く。高原リゾート内の立地のため、季節や天候に応じた移動の確認を勧めたい。

向く人 / 向かない人

  • 向く: 一棟貸しの独立した時間を望む家族・グループ、飲食の持ち込みや自由な過ごし方を求める旅、苗場高原の避暑を楽しみたい人
  • 向かない: 旅館の手厚いもてなしを求める旅程、一室での静かな夫婦旅、館内で完結する高級志向の滞在

具体情報

  • 所在: 新潟県南魚沼郡湯沢町三国(苗場高原)
  • 客室: コンドミニアム・貸切コテージ 全13室(一棟貸し含む)
  • 浴場: 岩露天付き内湯・離れ露天を含む3つの温泉浴場
  • 特徴: 飲食の持ち込み可・日帰り入浴あり
  • 立地: 苗場高原・夏も涼やかな高地


二日目 — 清水を越え、奥志賀の渓谷へ

二日目は国境を越える。苗場山麓から清水の冷気を抜け、長野・山ノ内へ。標高を上げるにつれ気温は下がり、笹川の源流が刻んだ奥志賀の渓谷に至る。二泊目は、より深い静けさの中に身を置く。渓谷のリゾートか、六室だけの森のロッジか。上信越の境が抱く水と森の豊かさを、その夜に知る。

2. ホテルグランフェニックス奥志賀 — 長野・奥志賀高原

奥志賀の渓谷に、標高一五〇〇メートルの静寂が広がる。笹川源流の冷気を浴びる、二泊目の核となる一軒。

Media Picks Score: 92 / 100  35室、離れ・独立棟の趣をもつ宿。

目安価格 ¥66,000–¥106,000 / 泊 (2名1室・通常期)


ホテルグランフェニックス奥志賀 — 長野・奥志賀高原 · 標高約1,500m、独立棟の趣をもつ渓谷のリゾート
PHOTO: ホテルグランフェニックス奥志賀 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

ホテルグランフェニックス奥志賀は、志賀高原の最奥、奥志賀高原に立つ標高約一五〇〇メートルのリゾートである。笹川の源流域に近く、夏でも涼やかな冷気が館を包む。選んだ理由は、まず立地。上信越でこれほど深い渓谷の懐に身を置ける宿は数えるほどしかない。次に、ゆとりある独立性の高い客室。広い間取りと大きな窓が、森と空をそのまま室内に取り込む。そして、星空観賞会やトレッキング、フライフィッシング、ジビエの狩猟体験といった、土地の自然に深く分け入るプログラムが整っていること。二泊目の宿として、清水越えの先に待つ渓谷の静けさを存分に味わえる一軒である。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計したところ、当該地域で立地の深さと静けさ、そして自然体験プログラムの充実への評価が高い宿として確認された。森に向く大窓と、夜の星空への言及が多く、都市の喧噪から最も遠い滞在を求める旅人に支持される傾向が読み取れる。一方で、奥志賀という立地ゆえに最寄りの主要駅からの移動に時間を要する。公共交通のみで辿る場合は、季節運行のバス便と送迎の確認を勧めたい。食は信州の山と渓の幸を軸に据え、ジビエや川魚に土地らしさが宿る。

向く人 / 向かない人

  • 向く: 渓谷の静けさと冷気を求める夏の避暑旅、星空・トレッキング・釣りなど自然体験を重んじる人、ゆとりある独立性の高い客室を望む夫婦・友人連れ
  • 向かない: 駅から短時間で到着したい旅程、夜の街歩きや買い物を旅の楽しみにする人、観光地巡りで宿に戻る時間が短い計画

具体情報

  • 最寄り駅: 長野電鉄 湯田中駅から車で約60分(季節運行バスあり)
  • 標高: 約1,500m(奥志賀高原)
  • 客室: 独立性の高い間取り 全35室
  • 食事: 信州の山・渓の幸を軸にした料理(ジビエ・川魚)
  • 体験: 星空観賞会・トレッキング・フライフィッシング・ジビエ狩猟体験


5. 奥志賀高原 ロッジ やまのまにまに — 長野・奥志賀高原

奥志賀の森に、六室だけのロッジがある。食養の料理とワインで結ぶ、二泊目の静かな締めくくり。

Media Picks Score: 88 / 100  6室、離れ・独立棟の趣をもつ宿。


奥志賀高原 ロッジ やまのまにまに — 長野・奥志賀高原 · 全6室、食養料理とナチュラルワインの小さなロッジ
PHOTO: 奥志賀高原 ロッジ やまのまにまに — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

奥志賀高原 ロッジ やまのまにまには、笹川源流に近い奥志賀の森に立つ、全六室の小さなロッジである。選んだ理由は、その規模の小ささと、料理への独自の姿勢にある。身体を養う食養料理と、自然派のワインを軸に据えた献立は、グランフェニックスとは異なる、より私的で静かな奥志賀の夜を約束する。六室という客数の少なさは、森の静けさをそのまま客室に届ける。志賀高原の最奥という立地ゆえ、辿り着くまでに手間を惜しまぬ旅人にこそ、その静寂は深く響く。二泊目を、より小さく、より個人的な締めくくりに置きたい人に向く一軒である。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計したところ、当該地域で評価そのものが極めて高い小宿として確認された。母数は大きくないものの、料理と森の静けさ、主人の人柄への支持が一貫している傾向が読み取れる。食養料理とナチュラルワインという独自の取り合わせが、ほかにない奥志賀の夜をかたちづくる。一方で、六室という規模ゆえ予約は早めの計画が要り、奥志賀の立地は公共交通での到達に時間を要する。静けさと引き換えに、辿り着く手間を受け入れられる旅人に向く。

向く人 / 向かない人

  • 向く: 森の静けさと小さな宿を好む夫婦・一人旅、食養料理やナチュラルワインに関心のある人、奥志賀の最奥で個人的な夜を過ごしたい人
  • 向かない: 大浴場や広い施設を望む旅程、駅から短時間で到着したい計画、にぎやかな団体での滞在

具体情報

  • 所在: 長野県下高井郡山ノ内町 奥志賀高原
  • 客室: 全6室(小さなロッジ)
  • 食事: 身体を養う食養料理・ナチュラルワイン
  • 立地: 笹川源流に近い奥志賀の森
  • 特徴: 志賀高原の最奥・静寂を重んじる小宿


三日目 — 上林に降り、湯と庭に憩う

三日目は高原を降り、上林温泉へ。志賀高原の玄関口に構える数寄屋の名旅館で、清水越えの疲れを湯と庭にほどく。二泊三日の終着にふさわしい、格と静けさを備えた一軒である。

1. 上林ホテル仙壽閣 — 長野・上林温泉

梅雨明けの上林に、昭和四年から続く数寄屋の宿がある。本館と離れを庭が結ぶ、二泊三日の終着にふさわしい一軒。

Media Picks Score: 94 / 100  34室、離れ・独立棟の趣をもつ宿。

目安価格 ¥62,000–¥81,000 / 泊 (2名1室・通常期)


上林ホテル仙壽閣 — 長野・上林温泉 · 1929年創業、数寄屋造りと本館・離れの構えをもつ名旅館
PHOTO: 上林ホテル仙壽閣 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

上林ホテル仙壽閣は、昭和四年(一九二九年)の創業。志賀高原の玄関口、上林温泉の高みに数寄屋造りの本館と離れを構える名旅館である。長野電鉄系の長電ホテルズが代を継いで運営し、皇族や文人を迎えてきた歴史を、いまも静かに保っている。選んだ理由は三つ。第一に、本館とは別棟の離れが、家族・夫婦の独立した時間を約束すること。第二に、毎分七二〇リットルという県下有数の湯量が、館内すべての浴槽を源泉のまま満たすこと。第三に、二つの日本庭園に抱かれた構えそのものが、上信越の旅の締めくくりに静けさを与えることである。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計したところ、当該地域で建物と庭の品格、そして湯の豊かさへの評価が際立って高い宿として確認された。とりわけ数寄屋の意匠と、滝のように壁を流れる大浴場の湯づかいが、長く記憶に残るという傾向が読み取れる。一方で、由緒ある宿ゆえに館内に段差や階の移動があり、歩行に不安のある旅人には事前の相談を勧めたい。料理は信州の山の幸を軸にした会席で、土地の味を求める人ほど満ちる構成と感じられる。

向く人 / 向かない人

  • 向く: 数寄屋建築と庭を静かに味わいたい夫婦旅、源泉かけ流しの湯量を重んじる温泉好き、上信越の旅の終着に格を求める人
  • 向かない: 館内の段差・階移動を避けたい歩行に不安のある人、廉価な素泊まりを望む旅程、洋食中心の食を求める人

具体情報

  • 最寄り駅: 長野電鉄 湯田中駅から車・送迎で約10分
  • 客室: 本館・離れ あわせて34室(数寄屋造り)
  • 湯量: 毎分約720リットル・全浴槽 源泉かけ流し
  • 食事: 信州の山の幸を軸にした会席(夕・朝)
  • 創業: 1929年(昭和4年)


よくある質問

Q. ベストシーズンはいつですか?

A. 梅雨明けから盛夏にかけてが、この旅程の最も美しい時期である。苗場高原も奥志賀高原も標高が高く、平地が暑熱に沈む頃でも朝夕は涼やか。とりわけ奥志賀は標高約一五〇〇メートルあり、笹川源流の冷気が夏の夜を心地よくする。紅葉期も見事だが、清水越えの冷気を主題に置くなら、編集部は梅雨明け直後の七月下旬から八月を推したい。

Q. 予約のタイミングは?

A. 六室の「やまのまにまに」、十六室の「玉城屋」など、客室数の限られた小宿は盛夏・連休の埋まりが早い。夏の旅程を確実にするなら二、三か月前の計画を勧めたい。奥志賀の宿は季節運行のバス便とも絡むため、交通の確認を含めて早めに動くと安心である。

Q. 子連れでも泊まれますか?

A. 一棟貸しの「苗場WEST 貸切コテージ」は、独立性が高く飲食の持ち込みも許されるため、家族での滞在に向く。一方、数寄屋造りの「仙壽閣」や六室の「やまのまにまに」は静けさを重んじる宿で、幼児連れには事前の相談を勧めたい。年齢や人数に応じて、二泊それぞれの宿を選び分けるとよい。

Q. アクセスは?

A. 一泊目の湯沢側は、上越新幹線の越後湯沢駅が起点。土樽・三国へは上越線または車で入る。二泊目の奥志賀側は、長野電鉄の湯田中駅から車で約六十分(季節運行のバス便あり)。三日目の上林温泉は湯田中駅から車・送迎で約十分である。清水越えは車での移動が中心となる。

Q. 湯の効能や泉質は?

A. 上林温泉の「仙壽閣」は毎分約七二〇リットルという豊かな自噴泉を持ち、全浴槽を源泉のまま満たす。苗場WESTは岩露天付き内湯と離れの露天を含む三つの温泉浴場を備える。奥志賀の二軒は温泉地というより高原リゾートの性格が強く、湯よりも渓谷の自然や料理に主眼が置かれる。湯を主目的とするなら、一泊目に苗場WEST、終着に仙壽閣を据える構成が満ちる。

本記事の参考情報

山ノ内町観光連盟(Yamanouchi) — 志賀高原・湯田中渋温泉郷・奥志賀の観光情報
越後湯沢観光ナビ — 湯沢町・苗場・土樽のアクセスと滞在情報
Wikipedia: 上林ホテル仙壽閣 — 創業・建築・湯量の背景

編集部から

五軒に通底するのは、棟を分け、間合いを保つという「離れ」の思想である。苗場山の麓に発ち、清水を越えて奥志賀の渓谷へ。標高と気温の差をその身で辿る二泊三日は、上信越の境がいかに豊かな水と森を抱いているかを教えてくれる。湯を求めるなら一泊目を苗場WESTに、料理を主題にするなら玉城屋に、静寂を望むなら奥志賀の二軒に、そして格を求めるなら終着を仙壽閣に。あなたなら、この国境の旅をどの宿から始めるだろうか。

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