離れ 箱根湯本
番頭という職能 — 旅館の表を取り仕切ってきた者たちの、いま語られない差配について
夏の宵、玄関帳場に灯が入る頃。客の到着から見送りまでを差配した番頭という職能を、玄関帳場の建築と離れの作法に辿る随筆。箱根の老舗二軒に触れる。
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離れ 箱根湯本
夏の宵、玄関帳場に灯が入る頃。客の到着から見送りまでを差配した番頭という職能を、玄関帳場の建築と離れの作法に辿る随筆。箱根の老舗二軒に触れる。
名旅館 湯河原温泉
万葉集にも詠まれた湯河原温泉の中心、藤木川の畔に明治十五年(1882)創業のゆ宿 藤田屋。夏目漱石・東郷平八郎ゆかりの登録有形文化財の本館に、四代を継ぐ家業の系譜と自家源泉の湯を訪ねる。
客室露天 強羅
盛夏の箱根、仙石原のすすき原と強羅の斜面に建つ客室露天五軒。大涌谷の白濁の硫黄泉と新湯本系の透明な掛け流し湯、各室の露天から望む明星ヶ岳と仙石原を、地図とともに編集部が選んだ。
名旅館 西山温泉
梅雨の長雨が障子を打つ夕暮れ。旅館の客間に必ず設えられてきた床の間とは何であったか。書院造から数寄屋への系譜を辿り、創業二百年を超える箱根「萬翠楼福住」と山梨「慶雲館」に、余白の作法をいまに訪ねる随筆。
離れ 谷川温泉
梅雨の朝、障子を引くと板間が湿りを帯びている。柱と障子の間に細く渡された縁側は、客間を取り巻きながら、外気と室内の境界を曖昧に保ってきた装置である。群馬・別邸 仙寿庵と神奈川・箱根 弓庵の縁側を参照しつつ、建築史と作法の両面から論じる。
名湯 奥湯河原
湯河原は万葉集に詠まれた古湯、伊豆山は走湯権現の門前湯場。塩化物泉を継ぐ湯宿五軒を、湯量と源泉、建物の来歴で辿る。
名旅館 宮城県
梅雨の合間、宿の蔵が静かに開かれる季節。和紙に毛筆で名前を綴った宿帳は、本陣帳・脇本陣帳に遡る記録の形式である。慶雲館、萬翠楼福住、湯主一條 — 三百年を越える老舗が継いできた書証の連なりを、随筆として辿る。
離れ 奥湯河原
水無月の奥湯河原は、藤木川と千歳川の合流点に紫陽花が満ち、真鶴半島の照葉樹林からは蝉の声が立ち始める。湯河原町奥地区と真鶴町に絞り、棟分けされた離れ形式の五軒を編集部の視点で選んだ。
名湯 湯河原温泉
水無月の湯河原と伊豆山、相模灘に注ぐ塩化物泉の系譜を継ぐ五軒。万葉集の歌枕に湧く古湯と、走湯権現の系譜を引く伊豆山温泉から、湯量と源泉の作法をいまに伝える旅館を編集部が選んだ。
名旅館 箱根
番頭は明治の宿屋取締規則以降に呼称が定着し、戦後の旅館経営でも経理と渉外の両輪を担った職能である。家業継承を続ける三軒の老舗旅館を実例に、玄関に立ち続けた者が宿の記憶をいかに編んできたかを辿る。湯守・宿帳に続く職能論の三作目。