秋分を過ぎ、志摩の海に伊勢海老漁の走りが立つ頃——古来より朝廷に海の幸を献じた御食国・志摩から的矢へ、二泊三日で味覚を辿る旅の宿として、料理を主目的とする三軒を選んだ。初日は英虞湾を望む浜島の湯宿で走りの伊勢海老と鮑を、二日目は牡蠣筏の浮かぶ的矢湾のほとりで地魚と、晩秋に控えた的矢かきの里を訪ねる。四十代から七十代の夫婦の旅を念頭に、素材と土地の物語を軸として、集約した公開レビューの傾向とともに描く。

日程 宿 エリア Score 客室 目安価格 一行の特徴
一日目 湯元館 ニュー浜島 志摩市浜島町 90 32 ¥51,000–¥64,000 英虞湾を望む浜島温泉、二本の源泉と伊勢海老の膳
二日目 美味し国の料理旅館 橘 志摩市磯部町的矢 92 16 ¥32,000–¥38,000 的矢湾を見下ろす高台、御食国の膳を継ぐ十六室
二日目・別案 いかだ荘山上 志摩市磯部町的矢 86 16 ¥44,000–¥57,000 半世紀続く的矢かきの名代、自社養殖の一皿

※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。集約評価は公開レビューデータを集計したものです。

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一日目|湯元館 ニュー浜島 — 志摩市浜島町(英虞湾・浜島温泉)

英虞湾の入り江に湯気が立つ、浜島温泉の一軒。走りの伊勢海老と鮑を、志摩でただ二本の異なる源泉に抱かれて味わう初日の宿。

Media Picks Score: 90 / 100  32室、料理旅館。

目安価格 ¥51,000–¥64,000 / 泊 (2名1室・通常期)

湯元館 ニュー浜島 — 志摩市浜島町 · 英虞湾を望む和室と浜島温泉、二本の源泉を持つ料理宿
PHOTO: 湯元館 ニュー浜島 — 公式サイトを見る →

この宿を選ぶ理由

湯が、まず旅人を迎える。伊勢志摩でいち早く天然温泉を掘り当てた宿として知られ、いまも泉質の異なる二本の源泉を持つ。pH9.4のなめらかなアルカリ泉が、展望大浴場と露天に満ちる。英虞湾を望む高台に立ち、膳には秋の走りの伊勢海老、志摩の鮑、そして松阪牛が並ぶ。海と山の幸を一度に受けとめる構えは、御食国の玄関にふさわしい。近鉄賢島駅からの送迎を頼めるため、車を持たない夫婦の旅にも無理がない。湾を染める夕景を湯から眺め、翌朝の的矢へ向かう英気を養う、二泊三日の起点として推したい一軒である。

具体情報

  • 最寄り駅: 近鉄賢島駅から送迎(予約制)/近鉄鵜方駅から三重交通バス約25分
  • 客室数: 32室
  • 温泉: 浜島温泉・自家源泉二本(pH9.4のアルカリ泉)、展望大浴場と露天
  • 食の主役: 秋の走りの伊勢海老、志摩の鮑、松阪牛
  • 立地: 英虞湾を望む高台

向く旅 / 向かない旅

  • 向く: 英虞湾の夕景と温泉を旅の起点に置きたい夫婦、車を使わず送迎で入りたい旅程、伊勢海老と鮑を一度に味わいたい人
  • 向かない: 湯より街歩きを主にしたい旅、素泊まりで食を宿の外に求める滞在


二日目|美味し国の料理旅館 橘 — 志摩市磯部町的矢(的矢湾)

牡蠣筏の点在する的矢湾を、高台の十六室が静かに見下ろす。秋は走りの伊勢海老と安乗ふぐ、そして晩秋からの的矢かきを待つ、料理を主目的にした宿。

Media Picks Score: 92 / 100  16室、料理旅館。

目安価格 ¥32,000–¥38,000 / 泊 (2名1室・通常期)

美味し国の料理旅館 橘 — 志摩市磯部町的矢 · 牡蠣筏の浮かぶ的矢湾を高台から望む料理旅館
PHOTO: 美味し国の料理旅館 橘 — 公式サイトを見る →

この宿を選ぶ理由

数寄屋の座敷が、湾へと開く。橘は的矢湾を望む高台に立つ料理旅館で、膳の主役は季節ごとに移ろう。秋の初めは走りの伊勢海老と安乗のふぐ、志摩の鮑、地の魚が並び、晩秋の十一月からは世界に名を知られた的矢かきの季節が始まる。一般に二、三年を要する牡蠣を、的矢の澄んだ内湾は一年で育てあげるという。窓の下に浮かぶ牡蠣筏は、その膳の来し方そのものだ。秋分に訪れるなら、伊勢海老と地魚を主役に、筏の海を眺めて的矢かきの再訪を約束するのがよい。素材と土地の物語がひと続きになる、この旅の心臓として編集部が真っ先に推す一軒である。

具体情報

  • 最寄り駅: 近鉄志摩磯部駅から送迎(志摩スペイン村へ約6分、鵜方駅へ約20分)
  • 客室数: 16室
  • 食の主役: 秋は走りの伊勢海老・安乗ふぐ・鮑・地魚、11月初旬〜3月は的矢かき
  • 立地: 的矢湾を望む高台、牡蠣筏を一望
  • 土地の物語: 的矢の内湾は牡蠣を約1年で育てる好漁場

向く旅 / 向かない旅

  • 向く: 的矢かきや伊勢海老を旅の主目的に据える夫婦、湾と筏の景を膳とともに味わいたい人、静かな小さな料理旅館を好む人
  • 向かない: 大浴場の湯めぐりを主目的にする旅、大規模館の賑わいを求める滞在


二日目・別案|いかだ荘山上 — 志摩市磯部町的矢(的矢湾)

かつて船乗りが航海の疲れを癒したという的矢の高台に、半世紀続く牡蠣料理の宿。二日目を的矢で選ぶなら、この一軒も膳の記憶に残る。

Media Picks Score: 86 / 100  16室、料理旅館。

目安価格 ¥44,000–¥57,000 / 泊 (2名1室・通常期)

いかだ荘山上 — 志摩市磯部町的矢 · 的矢湾を望む高台の料理旅館、自社養殖の的矢かき料理
PHOTO: いかだ荘山上 — 公式サイトを見る →

この宿を選ぶ理由

宿が、海の記憶を継いでいる。いかだ荘山上は的矢湾を見下ろす高台に立ち、その名の通り牡蠣筏の海とともに半世紀を歩んできた料理旅館である。名物は世界に誇る的矢かき。生牡蠣、焼き牡蠣、寿司と、一尾を余さず献立に組み、季節には活鮑や伊勢海老を添える。近年は自社で養殖するブランド浄化牡蠣「伊勢志摩プレミアムオイスター」を育て、産地の宿がみずから海を耕す構えを見せる。志摩磯部駅から送迎およそ十分。橘とともに的矢の膳を担う一軒として、二泊目の選択に厚みを与える宿である。

具体情報

  • 最寄り駅: 近鉄志摩磯部駅から送迎 約10分
  • 客室数: 16室
  • 食の主役: 的矢かき(生・焼・寿司)、季節の活鮑・伊勢海老、自社養殖のブランド牡蠣
  • 立地: 的矢湾を望む高台
  • 歩み: 的矢で半世紀続く牡蠣料理の宿

向く旅 / 向かない旅

  • 向く: 的矢かきを軸に二泊目を選びたい夫婦、産地養殖の牡蠣を食べ比べたい人、湾を望む開放的な浴場を好む人
  • 向かない: 真牡蠣の端境期(初夏〜初秋)に牡蠣尽くしを望む旅、温泉主体の湯宿を求める滞在


よくある質問

Q. 伊勢海老はいつ味わえますか?

A. 三重の伊勢海老漁は秋に走りを迎え、秋分の頃はちょうどその入り口にあたります。初秋から冬にかけてが旬で、本記事の三軒はいずれも伊勢海老を献立の柱に据えています。走りの時季は水揚げに波があるため、伊勢海老を主目的にする場合は宿泊プランで内容を確かめておくと確実です。

Q. 的矢かき(真牡蠣)はこの旅程で食べられますか?

A. 的矢かきの真牡蠣は例年11月初旬から翌3月までが提供期です。秋分に訪れる二泊三日では、膳の主役は走りの伊勢海老と地魚・鮑になり、的矢かきは晩秋からの楽しみとして残ります。牡蠣尽くしを目的にするなら、晩秋以降の再訪が向きます。

Q. 温泉に入れる宿はありますか?

A. 初日の湯元館ニュー浜島が浜島温泉の湯宿で、泉質の異なる二本の源泉を持ち、pH9.4のアルカリ泉を展望大浴場と露天で楽しめます。二日目の的矢の二軒は料理を主眼とする宿で、湯そのものより膳と的矢湾の景色が主役になります。

Q. 車がなくても回れますか?

A. 回れます。三軒とも近鉄の駅(賢島駅・志摩磯部駅)から送迎に対応しており、大阪・名古屋・京都から乗り換えなしの近鉄特急で志摩へ入れます。浜島から的矢へは湾沿いに車で30分ほど、宿の送迎や路線バスを組み合わせて移動できます。

Q. 夫婦二人の記念の旅に向きますか?

A. 向きます。いずれも小規模から中規模の料理旅館で、賑わいより落ち着きを保つ構えです。とりわけ二日目の橘は十六室の静かな宿で、的矢湾と牡蠣筏を望む膳が旅の記憶に残ります。素材と土地の物語を辿る、大人の二人旅に据えやすい三軒です。

本記事の参考情報

観光三重(三重県観光連盟) — 志摩・鳥羽エリアの観光情報
伊勢志摩観光ナビ(伊勢志摩観光コンベンション機構) — 宿とアクセスの案内
Wikipedia: 英虞湾 — リアス海岸と真珠・牡蠣養殖の背景
Wikipedia: 的矢湾 — 的矢かき養殖の歴史

編集部から

御食国・志摩の膳は、目の前の海とひと続きである。英虞湾の湯宿で走りの伊勢海老を受け、翌日は的矢湾の高台で牡蠣筏を眺めながら地魚を味わう——この二泊三日は、季節の入り口を辿る旅だと言える。真牡蠣の的矢かきが膳に上がるのは晩秋から。だからこそ、秋に走りの海老を味わった夫婦が、暦を改めて牡蠣の的矢へ戻ってくる。二度訪ねて一年が見えてくる土地に、あなたはどの季節から入るだろうか。

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