土用前の道南は、函館湾に真烏賊が寄り、大沼の高原に夏野菜が実る季節である。海の幸を継ぐ宿から、駒ヶ岳南麓で道南牛と高原野菜を主軸にする宿へ。函館・湯の川温泉を起点に、津軽海峡の汽水と大沼の高原をめぐる二泊三日の食卓を、Yadolist 編集部が三軒の宿でたどる。料理長の経歴と素材の調達、移動の所要を数値で添えながら、海と高原がひとつの旅程でつながる行程を提案する。
| 日程 | 宿 | エリア | Score | 客室 | 目安価格 | 食卓の主題 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1日目 | 割烹旅館 若松 | 函館・湯の川 | 95 | 22 | ¥68–106k | 津軽海峡の真烏賊と昆布、茶事の会席 |
| 2日目 | 函館大沼 鶴雅リゾート エプイ | 七飯・大沼 | 93 | 30 | ¥63–111k | 道南牛と高原野菜の地産創作料理 |
| 別案 | 旅館一乃松 | 函館・湯の川 | 91 | 29 | ¥40–76k | 北海道の旬を映す純和風の会席 |
※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。
1日目 — 函館・湯の川で、津軽海峡の真烏賊を継ぐ
1. 割烹旅館 若松 — 函館・湯の川温泉
創業大正十一年、津軽海峡を望む二十二室。真烏賊と昆布を会席に継ぐ、ミシュラン一つ星の割烹旅館。
Media Picks Score: 95 / 100 22室、割烹旅館。
目安価格 ¥68,000–¥106,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
湯の川の海ぎわに、大正十一年から灯りを継いできた割烹の宿である。料理は茶事の心得を軸に組まれ、ミシュランガイド北海道で一つ星に名を連ねた。旅程の初日にこの一軒を据えたのは、津軽海峡の真烏賊と道南の昆布という、道南の食卓を象徴する素材を最も丁寧に扱う宿だからである。全室から海峡を望む間取りと、創業以来絶えぬ五七・六度の自家源泉が、料理の余韻を静かに支える。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計したところ、料理の構成と器使い、客室から望む海景への評価が際立って高い。仲居の所作や静けさを評する声も多く、記念の旅や夫婦旅の宿として選ばれる傾向が読み取れる。一方で、格式ある会席ゆえに価格帯は道南でも上位に位置し、軽い滞在を望む向きには重く映ることもある、という両面が浮かぶ。
向く人 / 向かない人
-
向く:
海の幸の会席を旅の主目的に据える夫婦旅、津軽海峡の眺めと源泉かけ流しを重んじる人、記念の一泊 -
向かない:
費用を抑えたい旅程(道南でも価格帯は高め)、幼児連れで静けさを保ちにくい家族旅、洋食中心の食を望む人
具体情報
- 最寄り駅: 函館市電 湯の川温泉電停から徒歩約5分(函館空港から車で約10分)
- 客室数: 22室
- 湯: 自家源泉 57.6℃、源泉かけ流し、大理石の露天風呂
- 食事: 真烏賊・昆布など道南の海の幸を主とする会席
- 創業: 大正十一年(1922年)/ミシュランガイド北海道 一つ星
2日目 — 大沼・駒ヶ岳南麓で、道南牛と高原野菜を味わう
2. 函館大沼 鶴雅リゾート エプイ — 七飯町・大沼
駒ヶ岳南麓、大沼公園駅の目前に三十室。道南牛と高原野菜を地産の創作料理に映すリゾート。
Media Picks Score: 93 / 100 30室、リゾートホテル。
目安価格 ¥63,000–¥111,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
湯の川から車でおよそ四十分、大沼国定公園の懐に建つリゾートである。料理は大沼を中心に半径およそ八十キロ圏内の旬の食材を集め、道南牛と高原野菜を主軸とした創作のかたちに仕立てる。海の食卓を味わった翌日、同じ道南でありながら山の幸へと主題を移す——その対照こそ、この旅程に二日目の宿としてエプイを据える理由である。露天風呂や貸切風呂を備えた温泉が、高原の風とともに一日の終わりを和らげる。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計したところ、地産食材を用いた料理の構成と、客室のしつらえ、温泉の心地よさへの評価が高い。大沼公園駅に近い立地と、散策・カヌーといった高原のアクティビティへの導線を評する声も目立つ。一方、純和風の旅館を求める向きには、洋のリゾートとしての設えが好みを分ける面もある、という傾向が読み取れる。
向く人 / 向かない人
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向く:
道南牛と高原野菜の創作料理を楽しみたい人、大沼の散策やカヌーを組み込みたい旅程、洋のリゾートで湯も望む夫婦旅 -
向かない:
純和風の旅館建築を主目的にする人、海の幸中心の食を望む旅、徒歩圏に繁華街を求める滞在
具体情報
- 最寄り駅: JR大沼公園駅から徒歩約3分(函館中心部から車で約30分、函館空港から約40分)
- 客室数: 30室(スパリビング付・露天風呂付タイプを含む)
- 湯: 温泉大浴場・露天風呂、貸切風呂あり
- 食事: 大沼周辺の地産食材による創作料理(道南牛・高原野菜が主軸)
- 立地: 大沼国定公園内、駒ヶ岳南麓
別案 — 湯の川で、北海道の旬を映す純和風の一軒
3. 旅館一乃松 — 函館・湯の川温泉
総畳敷きの純和風二十九室。京風庭園を望みながら、北海道の旬を年四度の会席に映す一軒。
Media Picks Score: 91 / 100 29室、純和風旅館。
目安価格 ¥40,000–¥76,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
ロビーから廊下まで総畳敷きという、純和風を貫いた湯の川の一軒である。京風庭園を望む客室で、年に四度献立を替える会席が供される。初日の若松と同じ湯の川にありながら、より穏やかな価格帯と純和風の設えで、海の食卓を別の角度から味わいたい旅に向く。きんきの唐揚げをはじめ、北海道の旬を素直に映す料理が、畳の静けさのなかで供される。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計したところ、総畳敷きの館内と庭の眺め、料理の季節感への評価が高い。素足で歩ける和の設えと、檜の露天風呂を評する声も多く、落ち着いた滞在を求める層に選ばれている。一方で、規模ゆえに繁忙期は賑わいが届く面もある、という傾向が読み取れる。
向く人 / 向かない人
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向く:
純和風の旅館建築を好む人、湯の川で価格と質の均衡を求める旅、庭と畳の静けさを重んじる夫婦旅 -
向かない:
洋室の設備を望む人、最上級の格式を旅の主目的にする向き、極めて静かな小規模宿を求める滞在
具体情報
- 最寄り駅: 函館市電 湯の川温泉電停から徒歩圏(函館空港から車で約10分)
- 客室数: 29室、総畳敷きの純和風
- 湯: 檜の露天風呂を備える温泉
- 食事: 京風庭園を望む空間での会席(年4回替わる旬の会席、きんきの唐揚げが名物)
よくある質問
Q. ベストシーズンはいつですか?
A. 海の真烏賊は夏に身が締まり、高原野菜も土用前から夏にかけて力を蓄える。海と高原の食卓を一度に味わうなら、編集部は梅雨明け前後から夏の盛りを推したい。新緑の初夏や、駒ヶ岳が色づく秋も静かで趣がある。
Q. 予約のタイミングは?
A. 夏休み期と紅葉期は週末を中心に早く埋まる傾向がある。料理長会席や露天風呂付き客室を望む場合は、一〜二か月前を目安に確認したい。平日と週末で価格に差が出るため、日程に幅があれば平日泊が穏やかである。
Q. 子連れでも泊まれますか?
A. 大沼のエプイは散策やカヌーなど高原のアクティビティと相性がよく、家族旅にも組みやすい。一方、若松や一乃松は会席と静けさを軸とする宿のため、幼児連れの場合は事前に客室タイプと食事対応を確認するのが無難である。
Q. アクセスは?
A. 起点の湯の川温泉は函館空港から車で約10分、函館駅前から市電で約30分である。湯の川から大沼へは車でおよそ40分。大沼のエプイはJR大沼公園駅から徒歩約3分で、列車での移動にもなじみやすい。
Q. 料理だけを目的に泊まれますか?
A. いずれの宿も地元食材を主軸とする会席・創作料理を備え、料理を旅の主目的に据える滞在に向く。真烏賊と昆布の海の食卓(若松・一乃松)と、道南牛と高原野菜の山の食卓(エプイ)を、二泊で対比させる組み方ができる。
本記事の参考情報
・大沼国定公園 観光情報サイト「大沼ップ」 — 大沼・七飯町の散策とアクティビティ情報
・Wikipedia: 湯の川温泉 — 函館・湯の川温泉の歴史と地理の背景
編集部から
海の真烏賊から高原の道南牛へ。同じ道南という土地が、汽水と高原という二つの相を、二泊三日の食卓のなかで対にして見せてくれる。三軒に通じるのは、土地の素材を旅程の主役に据えるという姿勢である。湯の川で海峡を望みながら一夜を過ごし、翌日は駒ヶ岳南麓で山の幸に向かう——この往復が、道南という土地の輪郭を旅人に手渡す。次は、津軽海峡を渡った先、青森の海の食卓へと辿ってみたくはないだろうか。