梅雨明けの瀬戸内を、京都から徳島へ南下する三日間。鱧、鯛、阿波尾鶏。日ごとに主役を変えながら、淡路洲本・鳴門・徳島市の食通宿を二泊で結ぶ献立の旅を、編集部が組み立てた。土用前の海と里の幸が同時に揃う、年に一度の食の谷間に、宿を選んで歩く。
| 日程 | 宿 | エリア | Score | 客室 | 目安価格 | 主役の一皿 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Day1 | 夢泉景別荘 天原 | 淡路洲本 | 92 | 18 | ¥92–¥129k | 鱧の落とし、淡路ビーフのしゃぶ仕立て |
| Day2 | 旅館 水の | 鳴門 | 89 | 21 | ¥34–¥38k | 鳴門の鯛のあらい、穴子の白焼き |
| Day3 | ホテル千秋閣 | 徳島市 | 87 | 40 | ¥14–¥24k | 阿波尾鶏の炭火、すだち香る郷土料理 |
※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。
Day 1 — 淡路洲本、鱧と淡路ビーフ
京都を朝に発ち、新神戸から明石海峡大橋を渡って淡路へ。播磨灘を望む洲本温泉で、最初の宿に入る。土用前の鱧は脂が乗りはじめ、湯引きの透ける身に、淡路の藻塩がよく馴染む時期である。
1. 夢泉景別荘 天原 — 兵庫・洲本市
古茂江の海岸線に、全 18 室がすべて客室露天の食通宿。記念日の初夜を、編集部が真っ先に推したい一軒。
Media Picks Score: 92 / 100 18室、リゾート旅館。
目安価格 ¥92,000–¥129,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
古茂江の海岸線に建つ、全室客室露天の食通宿。本邸「夢泉景」と棟を分けた別荘扱いで、ゲスト専用ガーデンラウンジを備える独立性が、夫婦・友人連れの記念日に支持されている。専用ダイニング「春暮 種好」では淡路の旬を一品ずつ仕立てる構成で、鱧の落とし、淡路ビーフのしゃぶ仕立て、由良の地魚が一献ごとに席に運ばれてくる。
集約レビューの傾向
公開レビューの集約では、客室露天と海景、料理長の構成力に対する評価が安定して高い。土用前から夏にかけては鱧、秋以降は鱧鍋から鱧寿司へと変化する献立を求めて再訪する客が一定数確認できる。一方、価格帯は淡路の中で最上位に近く、気軽な滞在を求める旅程には向かない、という分布も読み取れる。
向く人 / 向かない人
-
向く:
結婚記念日・誕生日の節目を宿で過ごしたい夫婦、客室露天と料理を両立したい旅程、淡路の食材を一括して体験したい食通 -
向かない:
小さい子連れの家族(静かさを重視した運営)、観光地巡りで宿に戻る時間が短い旅程、和食一辺倒の構成を望まない客層
具体情報
- 最寄り: 高速バス洲本IC下車、送迎または車で約 10 分(神戸三宮から高速バス約 1 時間 30 分)
- 客室: 全 18 室、すべて客室露天風呂付き
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
- 食事: 専用ダイニング「春暮 種好」での会席(一品出し)
- 泉質: 洲本温泉(ナトリウム-塩化物泉)
Day 2 — 鳴門、鯛のあらいと穴子の白焼き
洲本を朝に発って、淡路島を南へ縦断。福良から鳴門大橋を渡れば、もう徳島県だ。鳴門海峡の急潮で締まった鯛と、紀伊水道側の穴子。二つの主役を一夜で並べる宿に、二泊目を置く。
2. 旅館 水の — 徳島・鳴門市
慶応三年(1868)創業、鳴門の名代鯛料理を 150 年以上守る老舗の食通宿。
Media Picks Score: 89 / 100 21室、政府登録国際観光旅館。
目安価格 ¥34,000–¥38,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
小鳴門海峡に面した岡崎海岸に、慶応三年から続く老舗。看板は「名代鯛料理」、料理は鯛のあらい・鯛の兜煮・鯛めしを一晩で巡る組み立てを軸とし、季節によって鳴門産の穴子の白焼き、わかめ、はもが加わる。全室オーシャンビューで、潮の流れに浮かぶ小舟や鳴門大橋の灯りが客室の窓から見えるという立地は、150 年同じ場所で営まれてきたこの宿ならではの財産である。
集約レビューの傾向
公開レビューの集約では、鯛料理を主目的に再訪する客の比率が高く、料理の鮮度と量、女将や仲居の応対への評価が安定して高い。一方、建物自体は古く、最新の意匠を求める客には合わないという分布も読み取れる。料理目当てで割り切れる旅程に強く適合する宿、という像が浮かぶ。
向く人 / 向かない人
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向く:
鯛・穴子を目的にした食通旅、瀬戸内の老舗旅館の風情を味わいたい大人の二人旅、室内同伴のペット連れ -
向かない:
新築・モダンな意匠を求める客、客室露天や大規模温泉施設を期待する旅程、洋食中心の食を望む人
具体情報
- 最寄り: JR鳴門駅から車で約 8 分(タクシー)、神戸淡路鳴門道 鳴門北IC 約 5 分
- 客室: 全室オーシャンビュー
- 創業: 慶応三年(1868 年)、150 年以上の継承
- 食事: 名代鯛料理を主軸とした会席(鯛のあらい・兜煮・鯛めし)
- 同伴可否: 室内ペット同伴可(要事前確認)
- 登録: 政府登録国際観光旅館
Day 3 — 徳島市、阿波尾鶏とすだち
鳴門を朝に発ち、徳島市街へ。最終日は街中の宿に入り、阿波尾鶏の炭火、すだちを散らした阿波料理の郷土皿を、街歩きの締めくくりに据える。眉山の麓、阿波踊会館を散策してから宿に戻る、ゆとりのある旅程である。
3. ホテル千秋閣 — 徳島・徳島市
徳島駅から徒歩 9 分、阿波尾鶏と郷土料理の会席を街中で味わえる和洋ハイブリッドの宿。
Media Picks Score: 87 / 100 40室、街中ホテル。
目安価格 ¥14,000–¥24,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
徳島駅から徒歩 9 分、阿波踊会館や眉山ロープウェイへも歩いていける街中の宿。2019 年にリニューアル済みで、和室(6 畳・12 畳・15 畳)と洋室(シングル・ダブル・ツイン)を備えた和洋ハイブリッド構成が特徴。料理は徳島の旬の食材を活かした和食・中華の会席メニューが用意され、徳島ならではの食材の組み立てが評価されている。
集約レビューの傾向
公開レビューの集約では、立地の良さと、駅近ながら旅館の朝夕食付きで泊まれる構成への評価が安定して高い。価格帯が三日間の最終日として旅程を締めくくる役割に合うこと、街歩き観光との両立がしやすいことが、リピーターの再訪理由として読み取れる。一方、施設規模としては大規模リゾートではないため、温泉や大浴場を主目的にする客層には物足りないという分布もある。
向く人 / 向かない人
-
向く:
徳島市街での観光(阿波踊会館・眉山)と食事を両立したい旅程、駅近で和食会席を求める二人旅、出張を兼ねた郷土料理目当ての滞在 -
向かない:
温泉や客室露天を必須とする客、リゾート滞在型の旅程、館内設備での長時間滞在を望む人
具体情報
- 最寄り: JR徳島駅から徒歩 9 分、徳島阿波おどり空港から車で約 25 分
- 客室: 全 40 室、和室(6 畳・12 畳・15 畳)と洋室(シングル・ダブル・ツイン)
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00(プランにより変動)
- 食事: 阿波尾鶏・徳島郷土食材を用いた会席、和朝食
- リニューアル: 2019 年
よくある質問
Q. この三日間の旅程は、いつが最も適していますか?
A. 鱧と若鯛が同時に揃う、梅雨明け前後の六月後半から七月上旬。土用(七月二十日前後)の前は、鱧の身が柔らかく、湯引きの落としで真価が出る時期である。八月以降は鱧寿司・鱧鍋へと仕立てが変わるが、暑さで歩きの旅程が辛くなる。
Q. 京都からの移動と所要時間は?
A. 京都駅から新神戸まで新幹線で約 30 分、神戸三宮から高速バスで洲本まで約 1 時間 30 分。Day2 は洲本から鳴門まで車で約 1 時間(淡路島南端の福良経由)、Day3 は鳴門から徳島市内まで車で約 35 分。三日とも公共交通とタクシーの組み合わせで完結する。
Q. 子連れでも組める旅程ですか?
A. Day1 の天原は静かさを重視した運営のため、幼児連れには向かない。Day2 の水のは室内ペット同伴可で、子連れの受け入れ可否は要事前確認。Day3 の千秋閣は街中ホテルで子連れも受け入れる柔軟性がある。家族旅で組むなら、Day1 を別の家族向け宿に差し替えるとよい。
Q. 一日で淡路から徳島まで南下する省略案は?
A. 一泊二日に縮める場合は、Day1 を洲本(夢泉景別荘 天原)、Day2 を徳島市(ホテル千秋閣)にして、鳴門大橋を昼に渡って観光(うずしお観光船・大塚国際美術館)を挟む構成が成立する。鯛料理は鳴門の昼食で代替可。
Q. 食通宿の旅で、季節を変えるとどうなりますか?
A. 秋口は鳴門のはも・鯛から、淡路の伊勢海老・松茸、徳島の天然鮎へと主役が移る。冬は鳴門ふぐと淡路ビーフのしゃぶしゃぶ、徳島の阿波尾鶏の鍋仕立てが強くなる。三軒の食材ネットワークは年中強固で、季節の節目を狙えば、同じ旅程で四度の表情を持つ。
本記事の参考情報
・淡路島観光協会 — 洲本・南あわじ・淡路市の観光情報
・鳴門市公式観光サイト — 鳴門海峡・うずしお・周辺旅館情報
・徳島県観光情報サイト 阿波ナビ — 徳島県内の宿・郷土料理情報
編集部から
瀬戸内の鱧・鯛・穴子を、三日かけて宿ごとに巡るという旅程は、淡路と徳島の食文化が地理的に連続していて、なお食材の主役が日ごとに変わるからこそ成立する。三軒の価格と性格が混成であることは、編集部としてはむしろこの旅程の魅力と捉えている。記念日の一夜から、老舗の継承する一椀、街中での郷土料理の締めへ。一度の旅程で、瀬戸内の食宿の三つの性格を順に味わう設計を、ここで提案した。次の季節は、どの一皿を主役に組み直すか。