盛夏の奥飛騨、焼岳南麓の福地温泉に、棟を分けて建つ離れ五軒を編んだ。飛騨の合掌や庄屋屋敷を移築した独立棟、囲炉裏端に炭が熾る板間、各棟が抱える掛け流しの露天と檜の内湯——母屋から離れた静けさを主役に、平湯街道の宿場として湯を継いできた湯守の系譜と、夕餉の飛騨牛・山の幸を、土地の話とともに語る。湯量に恵まれた福地ならではの、源泉掛け流しと囲炉裏の宿を、夫婦旅・友人連れの落ち着いた滞在のために選んでいる。

# 宿 エリア Score 客室 目安価格 1行特徴
1 隠庵ひだ路 福地温泉 93 12 ¥88–101万円台 全室が独立した離れ。専用露天+囲炉裏端の田舎料理
2 いろりの宿 かつら木の郷 福地温泉 92 10 ¥57–60万円台 150年の庄屋屋敷を移築、全十室が離れの「集落」
3 湯元 長座 福地温泉 91 27 ¥75–86万円台 欅の梁と絶やさぬ囲炉裏、福地を代表する移築の宿
4 元湯 孫九郎 福地温泉 90 24 ¥56–64万円台 自家源泉4本・毎分600ℓ、源泉100%の濁り湯
5 山里のいおり 草円 福地温泉 88 15 ¥53–66万円台 1836年築の旧二村家を移築、囲炉裏で薪炊きの飯
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※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。

1. 隠庵ひだ路 — 福地温泉

母屋から離れて建つ全十二室。専用露天と檜の内湯を抱え、囲炉裏端で山の幸を編む、福地でもっとも静かな離れの宿。

Media Picks Score: 93 / 100  12室、源泉掛け流しの離れ・古民家の宿。

目安価格 ¥88,000–¥101,000 / 泊 (2名1室・通常期)


隠庵ひだ路 — 高山市奥飛騨福地温泉 · 全十二室が独立した離れ、専用露天と檜の内湯を備える
PHOTO: 隠庵ひだ路 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

福地温泉の谷あいに、わずか十二室。すべての客室が母屋から離れて建つ独立棟で、専用の露天風呂と檜の内湯を備える。海の食材を一切用いず、山の幸だけを囲炉裏端で供する献立は、平湯街道の宿場が継いできた山里の食そのもの。源泉掛け流しの湯と、隣室を気にせぬ静けさが、この宿の核にある。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、静寂と離れの独立性、囲炉裏料理への評価が一貫して高い。一方で、急峻な敷地に棟が点在するため、移動に段差を伴う点を気にする声も見て取れる。湯と食、そして人目を避けた時間を主目的とする旅程に深く向く。

向く人 / 向かない人

  • 向く: 夫婦・友人連れの静かな滞在、囲炉裏料理と山の幸を主目的とする旅、源泉掛け流しを長く味わいたい湯好き
  • 向かない: 幼児連れで段差や離れ間の移動が負担になる家族、海の食材や洋食を望む人、短時間で多くの観光地を巡る旅程

具体情報

  • 最寄り: JR高山駅からバス約90分、福地温泉下車
  • 客室: 10畳和室+4.5畳掘り炬燵・専用露天付
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
  • 食事: 囲炉裏端の飛騨の田舎料理(海の食材を用いない山の幸)
  • 創業 / 母屋: 2007年

2. いろりの宿 かつら木の郷 — 福地温泉

百五十年の庄屋屋敷を移した母屋を中心に、十棟の離れが点在する四千坪の小さな集落。

Media Picks Score: 92 / 100  10室、源泉掛け流しの離れ・古民家の宿。

目安価格 ¥57,000–¥60,000 / 泊 (2名1室・通常期)


いろりの宿 かつら木の郷 — 高山市奥飛騨福地温泉 · 約150年前の庄屋屋敷を移築した母屋と十棟の離れ客室
PHOTO: いろりの宿 かつら木の郷 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

四千坪の敷地に、百五十年前の庄屋屋敷を移築再生した母屋を据え、その周りに十棟の離れを点在させた——一軒というより小さな集落である。一日十組限定。食事は個室の囲炉裏端で、飛騨牛の炭火焼と里山の幸が供される。男女別の大浴場に加え、檜の内湯を備えた貸切露天が二ヶ所。古材の太い梁と囲炉裏の火が、移築という継承の手仕事を今に伝える。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、離れの独立性と囲炉裏料理、古民家の趣に対する評価が際立つ。十組限定ゆえの静けさを支持する声が多い一方、棟ごとの設備差を指摘する向きもある。建物の歴史と囲炉裏の食を味わう旅に向く。

向く人 / 向かない人

  • 向く: 古民家・移築建築に惹かれる旅、囲炉裏の炭火料理を主目的とする夫婦旅、十組限定の静けさを求める滞在
  • 向かない: 大型ホテルの均一な設備を望む人、館内移動の少なさを優先する旅、にぎやかな団体での利用

具体情報

  • 最寄り: JR高山駅からバス約90分、福地温泉下車
  • 客室: 離れ一棟ごとに間取りが異なる
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
  • 食事: 個室の囲炉裏お食事処(飛騨牛炭火焼と里山の囲炉裏料理)
  • 創業 / 母屋: 2015年(母屋は約150年前の庄屋屋敷を移築)

3. 湯元 長座 — 福地温泉

欅の太柱と梁が組み上がる玄関、絶やさぬ囲炉裏の火。新潟の庄屋屋敷を移した、福地の顔ともいえる一軒。

Media Picks Score: 91 / 100  27室、源泉掛け流しの離れ・古民家の宿。

目安価格 ¥75,000–¥86,000 / 泊 (2名1室・通常期)


湯元 長座 — 高山市奥飛騨福地温泉 · 約150年の庄屋屋敷を移築、欅の太柱と梁、絶やさぬ囲炉裏の火
PHOTO: 湯元 長座 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

玄関を入ると、欅の太い柱と梁が頭上に組み上がり、ロビーの囲炉裏には絶えず火が熾る。母屋は約百五十年を経た庄屋屋敷を移築したもので、福地温泉の「離れと囲炉裏の里」という像を早くから体現してきた宿である。客室には囲炉裏を備えた間や檜風呂付の間があり、湯は豊富な源泉を掛け流しに。夕餉は飛騨牛のすき焼きを軸に、山の幸の会席が炉端を彩る。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、移築建築の風格と囲炉裏の情緒、掛け流しの湯への評価が高い。古い建物ゆえの段差や音を気にする声も一部に見られる。飛騨の民芸調の宿に身を置きたい旅に深く向く。

向く人 / 向かない人

  • 向く: 飛騨の民芸・古建築の風情を求める旅、囲炉裏端の食事と炭火を楽しむ夫婦旅、掛け流しの湯を重んじる湯好き
  • 向かない: 新しく均質な客室を望む人、段差や古い建物の生活音が気になる旅、洋室中心の滞在を求める人

具体情報

  • 最寄り: JR高山駅からバス約90分、福地温泉下車
  • 客室: 囲炉裏付の客室、檜風呂付の客室など多彩
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
  • 食事: 飛騨牛のすき焼きと山の幸の会席、囲炉裏を囲む炉端
  • 創業 / 母屋: 1989年(母屋は約150年の庄屋屋敷を移築)

4. 元湯 孫九郎 — 福地温泉

自家専用泉四本、毎分六百リットル。福地でも屈指の湯量を、源泉百パーセントの濁り湯で味わう一軒。

Media Picks Score: 90 / 100  24室、源泉掛け流しの離れ・古民家の宿。

目安価格 ¥56,000–¥64,000 / 泊 (2名1室・通常期)


元湯 孫九郎 — 高山市奥飛騨福地温泉 · 自家専用泉4本・毎分600リットル、源泉100%の濁り湯と築160年の古民家食事処
PHOTO: 元湯 孫九郎 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

孫九郎の核は、何より湯である。自家専用泉を四本所有し、毎分六百リットルという奥飛騨でも屈指の湯量を誇る。内風呂「大湯」と露天「蒼の湯」では、源泉をブレンドした緑褐色の濁り湯が、加水に頼らぬ本物の掛け流しで満たされる。食事処は築百六十年の古民家をそのまま用いた広間で、地元の食材を使った郷土料理が供される。昭和四十三年の創業以来、湯量で名を成してきた源泉の宿である。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、湯量と源泉百パーセントの泉質、濁り湯の満足度が突出して高い。建物の年代を感じさせる部分への指摘もあるが、湯を第一に選ぶ旅人からの支持が厚い。泉質本位で宿を選ぶ滞在に向く。

向く人 / 向かない人

  • 向く: 泉質と湯量を最優先する湯好き、源泉100%の濁り湯を求める旅、古民家の食事処で郷土料理を楽しみたい人
  • 向かない: 新しく洗練された客室設備を最優先する人、無色透明の澄んだ湯を好む人、離れの完全な独立性を求める旅

具体情報

  • 最寄り: JR高山駅からバス約90分、福地温泉下車
  • 客室: 和室を中心に多彩
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
  • 食事: 築約160年の古民家を用いた広間で郷土料理
  • 創業 / 母屋: 1968年(食事処は築約160年の古民家)

5. 山里のいおり 草円 — 福地温泉

天保七年に建てられた飛騨の古民家を移し、囲炉裏を囲んで郷土の膳を味わう、山里情緒の十五室。

Media Picks Score: 88 / 100  15室、源泉掛け流しの離れ・古民家の宿。

目安価格 ¥53,000–¥66,000 / 泊 (2名1室・通常期)


山里のいおり 草円 — 高山市奥飛騨福地温泉 · 1836年築の旧二村家を移築再生、自家源泉と囲炉裏の郷土料理
PHOTO: 山里のいおり 草円 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

草円の母屋は、天保七年(一八三六年)に飛騨国清見村大原に建てられた旧二村家を、平成十六年春に移築再生したものだ。築百七十年を超える古材が、山里の情緒を深い味わいとともに今に伝える。湯は地下三百メートルから汲み上げる自家源泉の炭酸水素塩泉。食事は囲炉裏を囲み、薪で炊く飯と飛騨牛、山里の味覚が供される。全十五室はそれぞれ間取りが異なり、移築建築ならではの一室一様の趣を持つ。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、古民家の風情と囲炉裏の料理、薪炊きの飯、貸切の掛け流しへの評価が高い。一方で部屋ごとの個性が強いぶん、設備の均一さを求める向きには好みが分かれる。山里の暮らしの記憶に触れる滞在に向く。

向く人 / 向かない人

  • 向く: 古民家移築の建築美に惹かれる旅、囲炉裏と薪炊きの飯を味わいたい人、湯量豊富な貸切掛け流しを求める湯好き
  • 向かない: 全室同一の均質な設備を望む人、近代的なホテル設備を優先する旅、館内のバリアフリーを最優先する人

具体情報

  • 最寄り: JR高山駅からバス約90分、福地温泉下車
  • 客室: 全十五室がそれぞれ異なる間取り
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
  • 食事: 囲炉裏を囲む郷土料理、薪で炊く飯と飛騨牛
  • 創業 / 母屋: 2004年移築(母屋は1836年築の旧二村家)

よくある質問

Q. 福地温泉のベストシーズンはいつですか?

A. 盛夏は上高地や新穂高への拠点として涼を求める旅に向き、焼岳南麓の谷あいは下界より過ごしやすい。秋は山の紅葉、冬は雪見の露天と囲炉裏の火が際立ち、囲炉裏端の料理は通年で福地の宿の核をなす。静けさを重んじるなら、平日や紅葉前後の落ち着いた時期を編集部は推したい。

Q. 予約のタイミングは?

A. 福地温泉の宿はいずれも小規模で、隠庵ひだ路やかつら木の郷のように一日十組前後に絞る宿も多い。紅葉期・連休・盛夏は数か月前から埋まりやすく、離れや囲炉裏付の客室は特に早い。希望の棟があれば、早めに予定を固めておきたい。

Q. 子連れでも泊まれますか?

A. 離れや移築の古民家は段差や棟間の移動を伴うため、幼児連れには負担となる場合がある。静けさを核とする宿が多く、客室の独立性は高い一方でバリアフリーは限定的。年齢条件や設備は宿により異なるため、福地温泉では事前の確認が欠かせない。

Q. 湯はどのような泉質ですか?

A. 福地温泉は湧出量に恵まれ、単純泉や含鉄泉、炭酸水素塩泉などが各宿で掛け流しにされる。孫九郎は自家専用泉四本・毎分六百リットルの源泉百パーセント、草円は地下三百メートルから汲む自家源泉の炭酸水素塩泉と、宿ごとに泉質と源泉の持ち方が異なるのも福地の楽しみである。

Q. 食事の特徴は?

A. 海を遠く離れた山里ゆえ、囲炉裏端で供される飛騨牛や岩魚、山菜など、土地の食材を主役にした献立が共通する。隠庵ひだ路は海の食材を用いず山の幸に徹し、草円は薪で炊く飯を、長座は飛騨牛のすき焼きを軸にするなど、囲炉裏という同じ舞台の上で各宿の個性が分かれる。

本記事の参考情報

福地温泉観光協会 — 福地温泉の宿・湯・歴史の案内
飛騨高山旅ガイド(高山市観光公式サイト) — 奥飛騨温泉郷の観光情報
Wikipedia: 奥飛騨温泉郷 — 地理・温泉の背景

編集部から

福地温泉の五軒に通底するのは、「離れ」「移築の古民家」「囲炉裏」「掛け流し」という、効率からは遠い手間の積み重ねである。母屋から距離を取って静けさを返し、二百年近い古材に第二の生を与え、火を絶やさず炭で山の幸を炙る——平湯街道の宿場が継いできた湯守の作法は、今も焼岳南麓の谷に息づいている。盛夏なら上高地や新穂高を控えた拠点として、秋冬なら雪と紅葉を映す露天と囲炉裏の宿として。あなたなら、五軒のうちどの一棟の戸を、まず閉じてみたいだろうか。

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