初秋の山口、椹野川のほとりに開けた湯田温泉で、アルカリ性の美肌湯を自らの構えで守る湯宿五軒を選びました。湯田の湯は源泉名を「湯田温泉ミックス泉」といい、湯田温泉旅館協同組合が公表する分析値でpH九・一四、泉温六三・六度。七つの源泉を合わせた最高温度は七二度に達し、一日およそ二千トンが湧き上がります。火山を熱源に持たない土地でありながら七十度を超える湯が湧く。県内でも例のない数字です。傷ついた白狐が権現山の麓の池に足を浸していた、という開湯の言い伝えとともに、この湯は八百年余りを町なかで生き延びてきました。放浪の俳人・種田山頭火が晩年に庵を結んだのも、この湯町でした。
| # | 湯宿 | 湯の構え | Score | 目安価格 | 一行の見どころ |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 松田屋ホテル | 大浴場3・露天2・家族風呂2 | 93 | ¥59–¥92k | 幕末の志士が浸かった一八六〇年の湯船が現役 |
| 2 | ユウベルホテル松政 | 大浴場「千人湯」・露天・貸切2 | 89 | ¥32–¥52k | 露天と貸切に源泉一〇〇%を注ぐ大型湯宿 |
| 3 | セントコア山口 | 露天・ガラス張り大浴場・サウナ | 88 | ¥31–¥45k | 三十四室の小構えでかけ流しを保つ町なかの宿 |
| 4 | 梅乃屋 | 自家源泉・大浴場2(花梅の湯/艶肌の湯) | 85 | ¥50–¥74k | 毎分一〇四・五リットルの自家源泉を数字で示す |
| 5 | 西の雅 常盤 | 大浴場・竹林露天・客室露天 | 82 | ¥46–¥62k | 「山頭火の湯」を含む五つの湯船を巡る昭和十一年創業の宿 |
※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。一泊二名一室利用時の一室あたり料金(税込)です。
1. 松田屋ホテル — 山口市湯田温泉
延宝三年創業。幕末の志士が身を沈めた一八六〇年の湯船を、今も家族風呂として湯客に開く一軒。
Media Picks Score: 93 / 100 本館十室・新館二十一室の計三十一室、数寄屋風造りの老舗旅館。
目安価格 ¥59,000–¥92,000 / 泊(二名一室・通常期)

なぜ選ばれるか
湯そのものが史料になっている宿です。公式に記される創業は延宝三年、西暦一六七五年。家族風呂「維新の湯」の浴槽は徳川幕府末期の一八六〇年に設えられたもので、長州・薩摩・土佐の志士たちが松田屋に会し密議を交わした折に使ったと伝わります。廻遊式の日本庭園は国の登録記念物となり、西郷・木戸・大久保の会見所と伝わる一角が今も残る。八十五年前の蔵を移した「蔵の湯」には龍馬の湯とおりょうの湯の二槽が並び、桧を張った「花柏の湯」、岩で組んだ「岩の湯」と続きます。大浴場「花柏の湯」と露天「白狐の湯」、そして家族風呂の二つには、公式サイト上でかけ流しの表示が添えられています。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、庭に面した本館客室と湯めぐりの構成、そして仲居の応対を高く評価する声が安定して多い宿です。三百五十年の歴史を建物の古さと受け止めるか、時間の厚みと受け止めるかで印象が分かれる傾向も読み取れます。近年は本館客室三室を改め、うち二室を寝台のある和洋室とした露天風呂付き客室が用意され、和室の起居に不安のある層への手当てが進んだと見受けられます。夕食は山口の海と山の素材を組んだ会席で、河豚を主題とした献立は十月から三月まで案内されています。
向く人 / 向かない人
-
向く:
幕末維新の史跡を辿る旅、庭と建築を主目的にする夫婦旅、湯船を数多く巡りたい湯好き -
向かない:
新しい設備を最優先する人(本館は歴史ある木造建築)、到着が遅い旅程(最終チェックインは二十二時)、宿泊費を抑えたい旅
具体情報
- 最寄り駅: JR山口線・湯田温泉駅から徒歩約十分
- 客室数: 本館(二階建)十室 / 新館(六階建)二十一室
- チェックイン: 16:00〜(最終22:00)
- 湯: 大浴場三か所(蔵の湯・花柏の湯・岩の湯)、露天二か所、家族風呂二か所。利用は15:00〜翌9:00
- 創業: 延宝三年(一六七五年)
- 庭園: 廻遊式日本庭園。国の登録記念物(文化財)
2. ユウベルホテル松政 — 山口市湯田温泉
「千人湯」と呼ばれる大浴場を構えながら、露天と貸切には源泉一〇〇%を注ぐ。湯量を惜しまない一軒。
Media Picks Score: 89 / 100 和室から温泉付特別室まで揃える、湯田温泉でも屈指の規模を持つ湯宿。
目安価格 ¥32,000–¥52,000 / 泊(二名一室・通常期)

なぜ選ばれるか
大型の湯宿でかけ流しを保つのは、湯量がなければ成り立ちません。松政は公式に「豊富な湯量(一日二千トン)」と湯田の湯を紹介したうえで、露天風呂を源泉一〇〇%掛け流しと明記します。貸切風呂も同様で、二〜三名向けの「一の湯」が二千二百円、四〜六名向けの「二の湯」が二千七百五十円、四十五分の入れ替え制。大浴場「千人湯」はジェットバスとサウナを備え、朝は六時から九時半、午後は十五時から翌一時まで開きます。泉質はアルカリ性単純泉、無色透明。源泉の最高温度は七十二度と案内されています。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、湯船の広さと入浴可能時間の長さ、そして家族連れや三世代旅への対応を評価する傾向が明瞭です。宿の規模ゆえに夕食時間が枠制となり、混み合う時間帯の動線を気にする声も一定数あります。食事処は和食処「佳苑亭」、ダイニング「雪舟」ほか複数を持ち、夕食は十七時半から十九時半まで三十分刻み、朝食は七時から八時半まで三十分刻みで開始時刻を選ぶ方式。浴衣姿で卓球を楽しめる設えなど、昭和以来の湯宿の作法も残しています。
向く人 / 向かない人
-
向く:
湯船で長く過ごしたい人、家族三世代の旅、彫り物のある人(貸切風呂の利用が案内されています) -
向かない:
小規模な宿の静けさを求める旅、夕食を自由な時刻に始めたい人、館内に人の気配が少ないことを重んじる滞在
具体情報
- 最寄り駅: 湯田温泉駅から徒歩約十分。新山口駅からJR山口線で約二十分
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
- 湯: 大浴場「千人湯」、源泉一〇〇%掛け流しの露天風呂、サウナ、貸切風呂二か所。利用は6:00〜9:30 / 15:00〜25:00
- 貸切風呂: 一の湯 2,200円 / 二の湯 2,750円(一回四十五分・宿泊者限定)
- 客室: 温泉付特別室、和室、和洋室、モダン和室、洋室
- その他: 山口宇部空港から車で約四十分。館内にEV充電スタンド
3. セントコア山口 — 山口市湯田温泉
三十四室という小さな構えで、露天とガラス張りの大浴場に源泉かけ流しを保つ町なかの一軒。
Media Picks Score: 88 / 100 全三十四室、都市型の設えに温泉を併せ持つ宿。
目安価格 ¥31,000–¥45,000 / 泊(二名一室・通常期)

なぜ選ばれるか
湯宿としての規模は小さく、客室は全三十四室。シングルにあたる一八・九平米の部屋が十二室、二三・六平米のツインが八室、三六・一平米の和室八畳が六室、四二・五平米の和室十畳が四室、最上階の特別室が和洋各一室、そして三四・三平米のバリアフリールームが二室という構成です。この規模でありながら、公式サイトは露天風呂とガラスウォール張りの大浴場を「源泉かけ流し」と明記します。宿泊者の入浴は十一時から二十四時、翌朝は六時から九時まで。日帰り入浴も大人千円で受け付けており、町の湯場としての役割も担っています。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、湯の質と清潔さ、そして価格に対する納得感を評価する傾向が明瞭です。旅館の様式を期待する層からは、館内の設えが都市型ホテルに近いことへの言及も見られます。裏を返せば、廊下や浴場の動線が短く、湯にすぐ入れる。夕食では山口の郷土料理を軸に、夏の炭火焼き、冬の河豚会席といった期間限定の献立が案内されます。公立学校共済組合の運営による「やすらぎの宿」の一館で、一般の旅行者も予約できます。
向く人 / 向かない人
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向く:
湯の質と価格の釣り合いを重んじる旅、山口市街の観光と組み合わせる滞在、段差の少ない客室が必要な人(バリアフリールーム二室) -
向かない:
木造旅館の情緒を主目的にする旅、館内で長く過ごす湯治型の滞在、客室で湯に浸かりたい人(客室風呂は温泉ではありません)
具体情報
- 所在: 山口市湯田温泉三丁目二番七号
- 客室数: 全三十四室(一八・九〜五一・一平米)
- 湯: 露天風呂、ガラスウォール張りの大浴場、サウナ。宿泊者利用は11:00〜24:00 / 6:00〜9:00(サウナ16:00〜24:00)
- 日帰り入浴: 大人1,000円、小学生500円(幼児無料)。受付11:00〜21:00(月曜は16:00〜)
- 食事: 山口の郷土料理を軸にした会席。夏の炭火焼き、冬の河豚会席など季節の献立
4. 梅乃屋 — 山口市湯田温泉
自家源泉を毎分一〇四・五リットル。加水も加温もせぬ湯を、数字で示して注ぐ全三十室の宿。
Media Picks Score: 85 / 100 全三十室、湯と食の二つを掲げる「湯の宿・味の宿」。
目安価格 ¥50,000–¥74,000 / 泊(二名一室・通常期)

なぜ選ばれるか
湯の素性を、これだけ具体的に開いている宿は多くありません。梅乃屋の自家源泉はナトリウムイオンと炭酸水素イオンを主成分とする弱アルカリ性単純泉で、公式に記される数値はpH八・〇三、湧出量は一分間に一〇四・五リットル、一日にしておよそ百五十トン。無色透明、無味、わずかに硫黄が香ると案内されています。高温の湯田源泉を低温の自家源泉で調えるため、加水をせずに適温へ運べる。二〇二五年一月に開いた宿泊者専用の大浴場「花梅の湯」は、露天・大浴場・サウナ・水風呂を備え、源泉一〇〇%かけ流しです。一方、日帰り客も入る「艶肌の湯」は大浴場のみ温度管理のため放流循環併用式と、湯使いを分けて明示しています。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、湯のなめらかさと食事の満足度を挙げる声が中心を占めます。「味の宿」を名乗るとおり献立への評価が高く、山口県産の野菜や地元の米豚を用いた品が支持を集めている様子が見て取れます。館内のカフェラウンジ「梅日和」では、地野菜のせいろ蒸し御膳や発酵キーマカレーといった昼の献立を供し、宿泊以外の客も迎える。建物そのものは新しくはなく、そこに言及が及ぶこともありますが、二〇二五年の大浴場新設をはじめ手が入り続けている宿です。
向く人 / 向かない人
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向く:
湯の分析値を確かめてから入りたい人、食事を旅の主目的にする夫婦旅、車で訪れる旅(駐車場四十台無料) -
向かない:
建物の新しさを重んじる人、駅から近い宿を望む旅(湯田温泉駅から徒歩十五分)、朝ゆっくり発ちたい旅程(チェックアウトは十時)
具体情報
- 最寄り駅: JR湯田温泉駅から徒歩約十五分
- 客室数: 全三十室(全館禁煙・喫煙所あり)
- チェックイン: 15:00〜(夕食付は最終19:00、夕食なしは22:00)/ アウト 〜10:00
- 湯: 花梅の湯(宿泊者専用・源泉一〇〇%かけ流し・露天・サウナ・水風呂)、艶肌の湯(日帰り可・大浴場は放流循環併用式)。15:00〜24:00 / 6:00〜9:30
- 自家源泉: 弱アルカリ性単純泉、pH八・〇三、毎分一〇四・五リットル(一日約百五十トン)
- 駐車場: 四十台(無料)
5. 西の雅 常盤 — 山口市湯田温泉
昭和十一年創業。桧の香る「山頭火の湯」を含む五つの湯船を巡れる、湯めぐりの宿。
Media Picks Score: 82 / 100 平成三年の増改築で九十二室を数え、以降も客室の改築を重ねる大型旅館。
目安価格 ¥46,000–¥62,000 / 泊(二名一室・通常期)

なぜ選ばれるか
湯船に名を与え、その名で土地の記憶を語る宿です。「維新黎明の湯」は勤皇の武士たちが集った湯町にちなみ、「山頭火の湯」は桧の香に包まれる湯船として漂泊の俳人の名を採り、「山口のんたの湯」は山口のザビエル聖堂のステンドグラスと湯田温泉祭の提灯を壁面に写します。大浴場「大内の御湯」、中国から原石を取り寄せて設えた「楊貴妃風呂」、そして平成十九年十月に開いた竹林露天風呂「わかたけ」。泉質は単純アルカリ性温泉と案内され、男女あわせて五つの湯船を巡れます。露天風呂付き客室も、平成十九年の「和樂」から令和四年の「層雲」まで、代を追って改築が重ねられました。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、湯めぐりの楽しさと、毎夜二十時四十五分から催される女将劇場への言及が突出します。踊りや太鼓、琴の演奏が並ぶ趣向で、これを旅の眼目とする客と、静けさを求めて距離を置く客とに評価が分かれる。宿の規模ゆえに設備の年数に触れる声も見られますが、昭和四十九年の第一期から令和四年の第七期まで、およそ五十年にわたり設備投資を重ねてきた履歴が公式に公開されています。昭和十一年二月、客室六室・収容二十五名で始まった宿が、二〇二六年に創業九十年を迎えました。
向く人 / 向かない人
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向く:
一泊で複数の湯船を巡りたい人、賑わいのある湯宿を好む友人連れ、客室露天を望む夫婦旅(モダンルーム和樂・悠玄・層雲) -
向かない:
夜の静けさを最優先する滞在、小規模宿の密な応対を求める旅、彫り物のある人(大浴場・露天の利用は断られています)
具体情報
- 所在: 山口市湯田温泉四丁目六番四号
- 創業: 昭和十一年(一九三六年)二月。二〇二六年に創業九十年
- 湯: 大浴場「大内の御湯」「楊貴妃風呂」、「維新黎明の湯」「山頭火の湯」「山口のんたの湯」、竹林露天風呂「わかたけ」(平成十九年十月開設)
- 客室露天: モダンルーム和樂(平成十九年)、モダンフロア悠玄(平成三十年)、モダンルーム層雲(令和四年)
- 催し: 女将劇場(毎夜20:45〜)
- 泉質: 単純アルカリ性温泉
よくある質問
Q. 湯田温泉の泉質と湯量は、どのように公表されていますか。
A. 湯田温泉旅館協同組合が源泉名「湯田温泉ミックス泉」の分析値を公開しています。泉質はアルカリ性単純温泉、pH九・一四、泉温六三・六度、知覚的試験は無色透明・無味無臭。七つの源泉の最高温度は七十二度で、一日およそ二千トンが湧出します。宿によっては自家源泉を持ち、梅乃屋のようにpH八・〇三、毎分一〇四・五リットルと独自の値を示す例もあります。
Q. 初秋に訪ねる利点はありますか。
A. 湯田の湯は無色透明で癖がなく、季節を選ばず長湯できるのが持ち味です。そのうえで編集部が初秋を推すのは、夏の混雑が退き、河豚の季節が始まる前の狭間にあたるためです。山口の秋は海と山の素材が同時に揃う時季で、宿の献立に幅が出ます。日中はまだ汗ばむ日もあるものの、露天の湯が心地よく感じられる頃合いです。
Q. 種田山頭火と湯田温泉には、どのような関わりがありますか。
A. 山頭火は昭和七年から山口市小郡に「其中庵」を構え、そこから湯田温泉へ足しげく通いました。昭和十三年の暮れには湯田温泉の一室に移り住み、その庵を「風来居」と名づけています。滞在はおよそ一年でした。湯田温泉には山頭火の句碑や像が置かれ、西の雅 常盤の「山頭火の湯」のように、湯船の名に俳人の名を採る宿もあります。
Q. 白狐伝説とは何ですか。
A. 傷を負った白い狐が毎夜、権現山の麓にある寺の池に足を浸していた。それを見た和尚が池の水をすくうと温かく、掘り進めると湯が湧き出した——という開湯の言い伝えです。湯田温泉旅館協同組合をはじめ、松田屋ホテル、梅乃屋、セントコア山口など複数の宿の公式サイトが、この由来を掲げています。湯田温泉の名が文献に現れるのは正治二年(一二〇〇年)とされ、開湯からおよそ八百十年を数えます。
Q. 子ども連れでも泊まれますか。
A. 五軒とも子ども連れの宿泊を受け入れています。松政は子ども用の浴衣を約八十センチから百四十五センチまで揃え、卓球場も備えます。セントコア山口には四二・五平米の和室十畳や五一・一平米の特別室があり、複数人での起居に向きます。松田屋ホテルの家族風呂は貸切で利用でき、手すりも設けられているため、幼児連れにも高齢の同行者にも使いやすい設えです。
Q. 湯田温泉は錦川のほとりにあるのですか。
A. 錦川ではありません。湯田温泉は山口市を流れる椹野川(ふしのがわ)の水系にあります。椹野川は宮野地区北部に源を発して山口湾に注ぐ延長約三十キロの二級河川で、大小二十四の支流を含む流域はすべて山口市内に収まります。錦川は岩国市を流れる別の水系です。混同されることのある二つですが、湯田の湯が湧くのは椹野川がつくった平地の側です。
本記事の参考情報
・湯田温泉旅館協同組合 — 温泉分析表、泉質・湧出量の公表値
・山口県ウェブサイト「椹野川・椹野川河口干潟・山口湾の『里海』の再生」 — 椹野川水系の流域情報
・おいでませ山口へ(山口県観光連盟) — 湯田温泉の概要と周辺の見どころ
編集部から
五軒を並べて見えてくるのは、湯田という湯町が「湯使いを言葉にする」段階に入っているということです。かけ流しと循環併用を湯船ごとに書き分ける宿があり、自家源泉の毎分湧出量を掲げる宿があり、一八六〇年の浴槽をそのまま使い続ける宿がある。湯量に恵まれた土地ほど、かえってその使い方を問われる。町なかに湧く湯だからこそ、宿の作法が湯の値打ちを決めるのだと感じられます。白狐が足を浸したと伝わる池から八百余年、湯はいまも同じ温度で湧き続けています。次はどの湯船に、どんな名がつけられるのでしょうか。
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