河口湖と西湖の汀で、客室の露天風呂から霊峰富士を仰げる宿として、編集部が選んだ五軒を紹介する。盛夏の早朝、湖面に薄い朝霧が立ち、風の凪いだ数分だけ水面に逆さ富士が結ぶ——その時刻を一室から独り占めできる宿を、湯どころの佇まいと立地を手がかりに選んだ。いずれも客室の露天から湖と富士を望める構えを持ち、湯は富士の溶岩台地に湧く河口湖温泉郷の湯を引く。喧噪から距離を置き、静かに時を過ごしたい夫婦旅・二人旅に向けて、目安価格とともに並べる。
| # | 宿 | エリア | Score | 客室 | 目安価格 | 1行特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ふふ 河口湖 | 河口湖北岸 | 93 | 32 | ¥180–¥278k | 全32室が温泉露天付きスイート、森に抱かれた大人の宿 |
| 2 | 河口湖温泉寺 夢殿 | 河口湖南寄り | 92 | 9 | ¥145–¥243k | 全9室すべてに個室露天、食事処も個室の“こもり”の宿 |
| 3 | 秀峰閣 湖月 | 河口湖北岸 | 91 | 45 | ¥64–¥86k | 全室が河口湖越しに富士を正面に据える北岸の宿 |
| 4 | 湖山亭うぶや | 河口湖南岸 | 89 | 51 | ¥86–¥121k | 「人生を祝う」を掲げる、逆さ富士を映す南岸の定宿 |
| 5 | 湖楽おんやど 富士吟景 | 河口湖畔 | 87 | 31 | ¥63–¥74k | 展望露天「富士見の湯」と手の届く価格、初めての湖畔泊に |
※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。宿の規模や食事の有無により内訳が異なります。
1. ふふ 河口湖 — 河口湖北岸
大石の高台に三十二室、その一室ごとに温泉の半露天を備える。富士と湖を独りで抱く、盛夏の朝のための一軒。
Media Picks Score: 93 / 100 32室、全室スイート・温泉半露天付き。
目安価格 ¥180,000–¥278,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
二〇一八年、河口湖の北岸・大石の溶岩台地に開いた全室スイートの宿である。三十二室すべてに温泉の半露天を配し、湯は富士の溶岩を通した河口湖温泉郷の湯を引く。大浴場の床にも富士の溶岩石を敷き、遠赤外の輻射で体の芯を温める趣向が印象に残る。館は森に抱かれ、客室からは湖越しに霊峰が立ち上がる。喧噪を断ち、二人だけの時間を確かに囲いたい旅程に、編集部が真っ先に推したい一軒である。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計したところ、全室に備わる温泉露天と、森閑とした立地の静けさへの高い評価が確認された。食事は地の素材を軸にした和の献立で、供し方の丁寧さを評価する声が集約傾向として見て取れる。一方で、価格帯は当地でも最上位に位置し、気軽さより特別な滞在を求める層に支持が偏る。子連れよりも、記念日や二人旅の静けさを重んじる滞在に向く宿として読み解ける。
向く人 / 向かない人
- 向く: 記念日・夫婦旅、静けさと露天を最優先する二人旅、特別な滞在に予算を充てられる旅程
- 向かない: 費用を抑えたい旅、幼い子を連れた家族(静けさ重視の設え)、観光を詰め込み宿に戻る時間が短い旅程
具体情報
- 最寄り駅: 河口湖駅から車で約15分(中央道河口湖ICより約15分)
- 客室: 全32室、全室スイート・温泉半露天付き
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜12:00
- 食事: 富士山麓・甲州の食材を軸にした和食(朝夕とも)
- 開業: 2018年10月
- 湯: 河口湖温泉郷の湯、大浴場の床に富士溶岩石
2. 河口湖温泉寺 夢殿 — 河口湖南寄り
わずか九室、そのすべてに個室露天。河口湖温泉寺が営む、静寂を売りにした小さな宿。
Media Picks Score: 92 / 100 9室、全9室・全室個室露天風呂付き。
目安価格 ¥145,000–¥243,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
河口湖温泉寺が営む、全九室の小体な宿である。客室はいずれも個室露天風呂を備え、朝夕の食事処までもが個室という徹底ぶりで、他客と顔を合わせずに一日を過ごせる構えが際立つ。二〇二三年に館を改め、絢爛と静寂を同居させた設えに整えた。湯は河口湖温泉郷の湯を各室の露天に引き、湖畔にありながら喧噪から遮られた時間が流れる。規模の小ささゆえに予約は取りにくいが、二人だけの籠りの旅を望むなら、編集部が強く推す一軒である。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、全室露天と個室食による“こもり”の心地よさ、接客の距離感の良さに評価が集まる。総客室九室という希少性から予約難度が高い点、価格が上位帯に位置する点は割り切りが要ると読める。料理は品数と器の設えを評価する声が多く、静けさと特別感を最優先する二人旅に強く向く宿として集約できる。
向く人 / 向かない人
- 向く: 人目を避けて籠りたい夫婦旅、記念日、全室露天と個室食を求める滞在
- 向かない: 大浴場での湯めぐりを楽しみたい人、賑わいや観光の利便を求める旅、予算を抑えたい旅程
具体情報
- 最寄り駅: 河口湖駅から車で約10分
- 客室: 全9室、全室個室露天風呂付き
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
- 食事: 朝夕とも個室の食事処
- 改装: 2023年に館内リニューアル
- 運営: 河口湖温泉寺による
3. 秀峰閣 湖月 — 河口湖北岸
北岸に四十五室、そのすべてが河口湖越しに富士を正面に据える。展望露天付きの客室が、湖と山を一枚の絵にする。
Media Picks Score: 91 / 100 45室、全室が富士・河口湖ビュー、展望露天付き客室あり。
目安価格 ¥64,000–¥86,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
河口湖北岸に立つ、全室が富士と湖を正面に望む宿である。四十五室のうち展望露天風呂を備えた客室が複数用意され、足湯付きの間や土間の居間を設えた贅沢な造りも選べる。最上階と一階の大浴場・露天からは、河口湖の水面越しに霊峰が真正面に立ち上がり、源泉の湯に浸かりながら景色に浸れる。規模がありながら眺望に妥協がなく、初めての河口湖泊で確かな一軒を選びたい旅程に向く。
集約レビューの傾向
公開レビューデータの集約では、全室正面富士という眺望の強さと、大浴場からの景色に評価が集中する。展望露天付き客室の満足度が高い一方、館の規模ゆえに時間帯によって浴場が混む点を割り引く声も見て取れる。食事とサービスは安定した評価で、眺望を第一に据える夫婦旅・友人連れに広く向く宿として読み解ける。
向く人 / 向かない人
- 向く: 正面富士の眺望を最優先する旅、露天付き客室で景色を独占したい二人旅、初めての河口湖泊
- 向かない: 少室ならではの静けさを求める人、浴場の混雑を避けたい時間帯にこだわる旅
具体情報
- 最寄り駅: 河口湖駅から車で約10分(送迎あり・要確認)
- 客室: 全45室、展望露天風呂付き客室あり
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
- 食事: 山梨の食材を用いた和の献立
- 湯: 河口湖温泉郷の湯、大浴場・露天とも正面富士
4. 湖山亭うぶや — 河口湖南岸
南岸の水際、五十一室すべてが逆さ富士を映す湖に向く。「人生を祝う」を掲げる、記念日の定宿。
Media Picks Score: 89 / 100 51室、全室湖・富士ビュー、露天付き客室59〜90㎡。
目安価格 ¥86,000–¥121,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
河口湖の南岸、水際に立つ全五十一室の宿である。全室が湖と富士に向き、露天風呂付きの客室は標準和室で五十九平米、上位の間で九十平米と、ゆとりある広さを持つ。「人生を祝う」を掲げ、記念日の滞在に応える設えを整える。展望大浴場からは逆さ富士がよく望め、盛夏の早朝には水面に立つ富士がひときわ澄む。規模と眺望、露天付き客室の広さを兼ね備え、河口湖で名の通った一軒である。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、逆さ富士を望む眺望と、露天付き客室の広さへの評価が目立つ。記念日利用への対応や供応を評価する声が集約傾向として確認できる一方、規模の大きさから静けさより賑わいを感じる場面がある点は好みが分かれる。眺望と広さ、祝いの設えを求める夫婦旅・家族の記念旅に向く宿として読み解ける。
向く人 / 向かない人
- 向く: 記念日・祝いの滞在、逆さ富士の眺望と広い露天付き客室を求める旅、送迎を使いたい二人旅
- 向かない: 少室の静けさを最優先する人、賑わいを避けて籠りたい旅程
具体情報
- 最寄り駅: 河口湖駅から車で約5分(送迎あり)
- 客室: 全51室、露天風呂付き客室 59〜90㎡
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
- 食事: 甲斐の食材を用いた会席
- 湯: 河口湖温泉郷の湯、展望大浴場から逆さ富士
5. 湖楽おんやど 富士吟景 — 河口湖畔
湖畔の三十一室、全室が富士と河口湖を一望に収める。最上階の展望露天「富士見の湯」が旅の締め。
Media Picks Score: 87 / 100 31室、全室湖・富士ビュー、別亭「凛」に露天付き客室。
目安価格 ¥63,000–¥74,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
河口湖畔に立つ全三十一室の宿で、客室・浴場・食事処のいずれからも富士と湖を望める配置が特徴である。和モダンに整えた別亭「凛」には露天付きの客室を用意し、最上階の大浴場「銘石風呂」と展望露天「富士見の湯」からは、湖の先に霊峰が広がる。二〇二三年に客室を改め、落ち着いた設えへと整えた。眺望と湯どころのわかりやすさに加え、五軒のなかでは手の届きやすい価格帯にあり、初めての河口湖泊にも選びやすい一軒である。
集約レビューの傾向
公開レビューデータの集約では、全室からの富士眺望と、展望露天からの景色への評価が中心を占める。価格に対する満足度が高い点が集約傾向として見て取れ、別亭の露天付き客室の評価も安定する。一方、館の造りは老舗然とした趣で、最新設備の華やかさを求める層とは相性が分かれる。眺望と湯、価格の釣り合いを重んじる夫婦旅・友人連れに向く宿として読み解ける。
向く人 / 向かない人
- 向く: 価格と眺望の釣り合いを重んじる旅、展望露天で富士を望みたい二人旅、初めての河口湖泊
- 向かない: 全室露天や最新設備を求める人、少室の静けさを最優先する旅
具体情報
- 最寄り駅: 河口湖駅から車で約7分(送迎あり・要確認)
- 客室: 全31室、別亭「凛」に露天付き客室
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
- 食事: 富士山麓・甲州の食材を用いた和食
- 湯: 展望露天「富士見の湯」・大浴場「銘石風呂」
- 改装: 2023年に客室リニューアル
よくある質問
Q. ベストシーズンはいつですか?
A. 逆さ富士と朝霧を主目的にするなら、編集部が推す時期は梅雨明けから盛夏にかけての無風の早朝です。湖面が凪ぐ数十分に水面の富士が最も澄みます。秋は紅葉、冬は空気が澄んで冠雪の富士が鮮明になり、季節ごとに趣が異なります。夏休みと連休は価格が上がりやすく、静けさを重んじるなら平日泊が向きます。
Q. 逆さ富士はどんな条件で見られますか?
A. 快晴・無風で湖面が鏡のように凪いだ、日の出前後の時間帯が最もよく結びます。風が立つと水面が乱れて像が崩れます。全室が湖に向く「秀峰閣 湖月」「湖山亭うぶや」「富士吟景」は、客室や展望大浴場から待つのに向きます。
Q. 予約のタイミングは?
A. 全室露天の小規模宿「河口湖温泉寺 夢殿」(全9室)や「ふふ 河口湖」(全32室)は数か月前から埋まりやすく、盛夏・連休は早めの確保が要ります。眺望重視の中規模宿は比較的取りやすいものの、週末は平日より価格が上がる傾向があります。
Q. 温泉の泉質・源泉は?
A. 五軒の湯は、平成元年(1989年)に開湯した河口湖温泉郷の湯を引きます。富士の溶岩台地に湧く複数の泉源からなり、冷え・疲労回復に一般的とされる湯です。各室の露天や展望大浴場でこの湯に浸かれます。効能や泉質の詳細は各宿の公式サイトで確認できます。
Q. 子連れでも泊まれますか?
A. 「湖山亭うぶや」「秀峰閣 湖月」「富士吟景」は規模があり、家族での利用にも向きます。一方「ふふ 河口湖」「河口湖温泉寺 夢殿」は静けさを主題に据えた設えで、幼い子を連れた滞在より二人旅に向きます。添い寝や子ども向けの対応は各宿で異なるため、予約時の確認が確実です。
Q. アクセスは?
A. いずれも河口湖駅から車で約5〜15分、中央自動車道河口湖ICから15分圏です。送迎を用意する宿もあり、予約時に確認できます。新宿から河口湖駅までは高速バスや富士急行線で概ね2時間前後です。
本記事の参考情報
・富士の国やまなし観光ネット(山梨県公式観光情報) — 富士五湖エリアの観光・宿泊情報
・Wikipedia: 河口湖 — 湖の地理・成り立ちの背景
編集部から
五軒に通底するのは、客室の露天という一点に旅の重心を置いた造りである。湖と富士を借景に、湯に浸かる時間そのものを目的にできる宿を選んだ。規模の大きな眺望宿から、全室露天の小さな籠りの宿まで幅を持たせたのは、二人の旅がどんな静けさを求めるかで最適が変わるためだ。盛夏なら早朝の逆さ富士を、晩秋なら澄んだ空気の冠雪を——同じ湖でも、訪れる季節で湯舟から見える景色は入れ替わる。次はどの季節の、どの湖畔に、湯を目当ての一泊を組むだろうか。