晩夏の宵、長良川の瀬に鵜舟の篝火が連なる頃、その川湊で暖簾を継いできた名旅館を四軒訪ねる。長良川温泉は、千三百年の歴史をもつ長良川鵜飼の川湊に開けた湯町である。川原町の格子戸の町家と、川面に張り出した客間に、代を継ぐ旅籠が育ってきた。万延元年創業の一軒をはじめ、鵜匠の家系や川湊の商家から転じた宿が、鵜飼の観覧と鮎の膳を今に伝えている。名古屋から二十分、鵜飼の残る晩夏に、川と町並みを主語として、長良川の畔に灯る宿を地図とともにたどりたい。

# 旅館 エリア Score 客室 目安価格 一行特徴
1 十八楼 岐阜市 湊町 90 111 ¥43,000〜¥75,000 万延元年創業、川原町の格子戸に続く鵜飼の川湊を代表する一軒
2 ぎふ長良川温泉 ホテルパーク 岐阜市 湊町 89 77 ¥42,000〜¥55,000 創業百二十余年、全室が長良川に面し客間から鵜飼を見下ろす川端の宿
3 長良川観光ホテル石金 岐阜市 長良 92 14 ¥41,000〜¥53,000 対岸に金華山と岐阜城を望み、鵜飼の篝火を膳とともに味わう十四室の料理旅館
4 鵜匠の家 すぎ山 岐阜市 長良 90 46 ¥39,000〜¥59,000 鵜匠家一統に連なる宿、展望風呂から金華山と岐阜城を仰ぐ一軒
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※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。

1. 十八楼 — 岐阜市 湊町

万延元年、岐阜湊町の宿屋『山本屋』が十八楼と名を改めて百六十余年。川原町の格子戸に続く、長良川鵜飼の川湊を代表する一軒である。

Media Picks Score: 90 / 100  111室、鵜飼の川湊に立つ名旅館。

目安価格 ¥43,000〜¥75,000 / 泊 (2名1室・通常期)

十八楼 — 岐阜市湊町 · 万延元年創業、長良川流域最大級の大浴場を擁する川原町の老舗旅館
PHOTO: 十八楼 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

湯が、赤褐色をたたえて客を迎える。長良川流域最大級とされる大浴場「川の音」「川の瀬」は朝晩で男女が入れ替わり、明治期の蔵を移して設えた「蔵の湯」が館の歴史を今に伝える。万延元年(1860年)創業の暖簾は、川原町の古い町並みにそのまま面し、川側の客間からは晩夏の鵜飼の篝火を望むことができる。湯町の顔として、当メディアが真っ先に名を挙げる名旅館である。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計したところ、川原町の町歩きに直結する立地と、広い大浴場、そして川面の鵜飼観覧への評価が繰り返し確認された。一方で百十一室という規模ゆえ、鵜飼最盛期の館内には相応の賑わいがある点は、静けさを最優先する旅では踏まえておきたい。

向く人 / 向かない人

  • 向く: 川原町の町並みを歩きたい旅、鵜飼観覧を主目的にする夫婦旅、広い大浴場を湯めぐりのように楽しみたい人
  • 向かない: 十室前後の静寂を最優先する滞在、全室に客室露天を求める旅程

具体情報

  • 最寄り: 長良橋バス停から徒歩約1分(JR岐阜駅からバス約15分)
  • 客室数: 111室(川側客室・露天風呂付客室ほか)
  • 創業: 万延元年=1860年(宿屋「山本屋」を改称)
  • 湯: 大浴場「川の音」「川の瀬」朝晩入替、明治の蔵を移した「蔵の湯」、赤褐色の湯
  • 立地: 川原町の古い町並みに面し、川側客室から鵜飼観覧


2. ぎふ長良川温泉 ホテルパーク — 岐阜市 湊町

長良橋のたもと、湊町に暖簾を掲げて創業百二十余年。全室が長良川に面し、鵜飼の川面を客間から見下ろす宿である。

Media Picks Score: 89 / 100  77室、鵜飼の川湊に立つ名旅館。

目安価格 ¥42,000〜¥55,000 / 泊 (2名1室・通常期)

ぎふ長良川温泉 ホテルパーク — 岐阜市湊町 · 創業百二十余年、全室が長良川に面する川端の宿
PHOTO: ぎふ長良川温泉 ホテルパーク — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

建物が、川へ向かって開いている。湊町の商家に始まり、代を重ねて百二十余年。全客室が長良川側に構え、晩夏には目の前の瀬で焚かれる鵜飼の篝火を、部屋に居ながらにして追える。展望風呂「川の湯」の露天には、鉄分とラドンを含む赤い濁り湯(単純鉄冷鉱泉)が満ちる。長良川堤の桜並木を間近に望む立地も、この宿ならではのものである。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、川側客室からの眺めと、露天から流れを見晴らす湯への評価が際立つ。鵜飼の観覧に加え、春の堤の桜も繰り返し語られる季の見どころとして確認できた。設備の新しさより、川と正対する構えそのものを目当てにする旅に向く一軒である。

向く人 / 向かない人

  • 向く: 川と鵜飼の眺めを客間から独り占めしたい旅、赤褐色の鉄泉を好む人、長良川堤の桜を間近に望みたい春の旅程
  • 向かない: 最新設備の客室を最優先する滞在、川から離れた静かな高台の宿を望む人

具体情報

  • 最寄り: 長良橋バス停からすぐ(JR岐阜駅からバス約15分)
  • 客室数: 77室(全室が長良川側)
  • 創業: 明治期、創業百二十余年
  • 湯: 展望風呂「川の湯」露天、単純鉄冷鉱泉の赤褐色の湯(鉄分・ラドンを含む)
  • 立地: 湊町・長良橋のたもと、長良川堤の桜並木に近接


3. 長良川観光ホテル石金 — 岐阜市 長良

川端に十四室。対岸の金華山と岐阜城を正面に望み、鵜飼の篝火を膳とともに味わう料理旅館である。

Media Picks Score: 92 / 100  14室、鵜飼の川湊に立つ名旅館。

目安価格 ¥41,000〜¥53,000 / 泊 (2名1室・通常期)

長良川観光ホテル石金 — 岐阜市長良 · 対岸に金華山と岐阜城を望む十四室の料理旅館
PHOTO: 長良川観光ホテル石金 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

膳が、この宿の主語である。長良川の名水で仕立てた会席は旬の素材を吟味し、料理旅館としての矜持を器ごとに映す。全室が川側に構え、対岸には金華山と、その頂に岐阜城。晩夏には目の前を鵜舟が下る。日本の温泉100選に数えられた湯と、十四室という小体な構えが、川と城を独占するような時間をかたちづくる。四軒のなかで公開レビューの集約評価は最も高い。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計したところ、料理と眺望の双方に対する評価が四軒のなかで最も高く安定していた。一方、館内に階段が多くエレベーターを備えない点への言及も見られ、足もとに不安のある旅では事前に確かめておきたい。

向く人 / 向かない人

  • 向く: 料理を旅の主目的にする夫婦旅、川と岐阜城の眺めを静かに味わいたい人、小規模宿の落ち着きを好む滞在
  • 向かない: 段差や階段の上り下りを避けたい旅(エレベーターなし)、広い大浴場の湯めぐりを望む人

具体情報

  • 所在: 岐阜市長良112、長良川の川端(全室川側)
  • 客室数: 14室(小規模の料理旅館)
  • 料理: 長良川の名水で仕立てる旬の会席、料理旅館
  • 湯: 日本の温泉100選に選ばれた長良川温泉
  • 眺望: 対岸に金華山・岐阜城、晩夏は客室から鵜飼観覧
  • 設備: 館内に階段が多くエレベーターなし


4. 鵜匠の家 すぎ山 — 岐阜市 長良

鵜匠の家系に連なる宿。展望風呂から金華山と岐阜城を仰ぎ、晩夏の篝火を川面に追う一軒である。

Media Picks Score: 90 / 100  46室、鵜飼の川湊に立つ名旅館。

目安価格 ¥39,000〜¥59,000 / 泊 (2名1室・通常期)

鵜匠の家 すぎ山 — 岐阜市長良 · 鵜匠家一統の宿、展望風呂から金華山と岐阜城を望む
PHOTO: 鵜匠の家 すぎ山 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

宿の名が、そのまま鵜飼の物語を負っている。「鵜匠の家 すぎ山」は、長良川鵜飼を担う鵜匠家一統に連なる宿として、川漁の文化を暖簾に織り込んできた。最上階の展望風呂からは、金華山とその頂の岐阜城、清流長良川を一望に収める。四十六室を構えながらも、鵜飼という土地の営みを宿の芯に据える姿勢が、この一軒を名旅館たらしめている。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計すると、鵜飼文化との結び付きと、金華山・岐阜城を望む展望風呂への評価が繰り返し確認された。接遇の丁寧さを挙げる声も安定して見られる。川面すれすれの構えではなく、高みから川と城を俯瞰する眺めが持ち味である。

向く人 / 向かない人

  • 向く: 鵜飼という土地の営みを宿の物語ごと味わいたい旅、展望風呂から城と川を見晴らしたい人、接遇の落ち着きを求める夫婦旅
  • 向かない: 川面ぎりぎりに張り出した客間を求める旅、極小規模の宿だけを望む人

具体情報

  • 所在: 岐阜市長良73-1、長良川温泉
  • 客室数: 46室
  • 由緒: 長良川鵜飼を担う鵜匠家一統に連なる宿
  • 湯: 最上階の展望風呂から金華山・岐阜城・長良川を一望
  • 時刻: チェックイン15:00/チェックアウト10:00


よくある質問

Q. 長良川温泉はどのような湯ですか?

A. 長良川温泉は、鉄分を含む赤褐色(赤い濁り湯)の湯で知られ、泉質は単純鉄冷鉱泉系にあたります。宿によっては明治の蔵を移した湯屋や、川を見晴らす展望風呂・露天を備え、湯の色と川の眺めをあわせて楽しめるのが川湊の湯町らしさです。

Q. 鵜飼はいつ見られますか?

A. 長良川鵜飼は例年5月11日から10月15日まで、増水などの中止日を除き毎夜行われます。晩夏は篝火の残る最後の季にあたり、川面に連なる鵜舟の火と、対岸の金華山に浮かぶ岐阜城の影が同時に望めます。川側の客間や観覧船から眺めるのが習わしです。

Q. 予約はいつ頃から考えればよいですか?

A. 鵜飼の最盛期にあたる夏から初秋の週末、とりわけ川側や露天付の客室は早くに埋まる傾向があります。晩夏の篝火を客間から望みたい場合は、一〜二か月前を目安に日程を定めておくと選択肢が広がります。

Q. 子連れでも泊まれますか?

A. いずれの宿も家族連れの滞在を受け入れています。ただし石金のように館内の階段が多くエレベーターを備えない宿もあり、幼い子や足もとに不安のある同行者がいる場合は、客室階や動線を予約時に確かめておくと安心です。

Q. アクセスは?

A. JR岐阜駅・名鉄岐阜駅からバスで約15分、長良橋バス停で下車すれば、湊町・川原町の宿はいずれも徒歩圏です。名古屋からはJRで岐阜駅まで約20分と近く、日帰りに近い距離で鵜飼の川湊に立てます。

本記事の参考情報

岐阜の旅ガイド(岐阜県観光公式サイト) — 長良川温泉・鵜飼の観光情報
Wikipedia: 長良川鵜飼 — 鵜飼と川湊の歴史的背景

編集部から

四軒に通底するのは、長良川という一本の流れと、鵜飼という千三百年続く営みである。万延元年の暖簾を継ぐ十八楼、川へ開いた百二十余年のホテルパーク、料理を主語とする十四室の石金、鵜匠の家系に連なるすぎ山。構えも規模も異なるが、いずれも川と町並みを背負って代を継いできた宿である。晩夏の篝火が消える頃、この川湊の湯町は、鮎から紅葉へと季を移していく。次は秋の長良川、鮎の落ちる頃の膳を、どの宿の窓から眺めたいだろうか。

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