名湯
白濁という現象 — 湯が色を帯びる瞬間に、湯場が何を見てきたか
湯はもともと無色である。地中で熱せられ岩盤を伝う湯が、空気に触れた瞬間に色を帯びる――白骨・雲仙小地獄・ニセコ五色、三つの湯場が読み続けてきた白濁の作法を辿るエッセイ。
信州渋と湯田中、横湯川の九湯を歩く湯宿五軒 — 外湯の鍵を継ぐ志賀高原山麓の里
信州・山ノ内の渋温泉と湯田中温泉。九つの外湯の鍵を宿が手渡す共同湯文化を軸に、横湯川沿いの湯宿五軒を地図とともに編んだ。文化財の桃山風呂、四源泉のかけ流し、木造四階の斉月楼。
猿ヶ京と法師、三国峠の麓に文化財の湯を継ぐ湯宿五軒 — 法師乃湯の足元自噴と上州の里湯
三国峠の麓、群馬みなかみ南部の三湯場(猿ヶ京・湯宿・法師)から、足元自噴と登録文化財の湯屋を持つ宿を編集部が五軒選んだ。1875年創業の法師温泉長寿館を含む。
三陸釜石と大船渡、世界一深い湾の縁に湯を継ぐ湯宿五軒 — リアスの磯と復興を越えた里湯
盛夏の三陸、釜石・大船渡・陸前高田。リアス海岸の縁に湯と漁を継ぐ五軒の宿を、塩化物泉の湯質と漁港の食卓を軸に編集部が選定した。震災と復興を越えた里湯の現在を、年配の夫婦旅・友人連れに向けて落ち着いた敬体で記す。
ぬる湯という時間 — 旅館の長湯が、なぜ三十度台の湯に身を委ねる作法を育ててきたか
処暑を過ぎ、熱い湯が遠ざかる頃。増富・栃尾又・長湯——三十度台のぬる湯に長く身を委ねてきた三軒を随筆として辿り、熱さではなく時間で身体を温める日本の湯場の系譜を記す。
石見の三湯、温泉津と有福に湯治の作法を継ぐ湯宿五軒 — 世界遺産銀山の里に湧く塩湯と山あいのぬる湯
世界遺産・石見銀山の里に湧く温泉津と有福。海辺の塩湯と山あいのぬる湯、二つの湯場に湯治の作法を継ぐ木造の湯宿を五軒、梅雨明けの石見に編んだ。
栃尾又、ラジウム温泉のぬる湯に約四百年を継ぐ一軒 — 越後の薬師信仰と長湯の作法を守る宿の記
新潟県魚沼市、奥只見の手前に湧く栃尾又温泉。全国屈指のラジウムを含む三十五度のぬる湯に一〜二時間浸かる長湯の作法を、約四百年・二十五代にわたり守る湯治の宿「自在館」を訪ねる。
伊予道後と奥道後、三千年の湯を継ぐ湯宿五軒 — 石手川の渓と松山平野のアルカリ単純泉
道後本町・奥道後・東道後の名湯エリアから、三千年の湯を継ぐ湯宿を五軒。アルカリ単純泉と硫黄泉、外湯文化と引湯の系譜を、湯質と湯量を明記しながら地図とともに辿る。
pHという尺度 — 湯の酸とアルカリを数字で語る作法が、いかに肌の記憶を残してきたか
強酸性の玉川から強アルカリの嬉野まで。湯のpHという一つの数字が、湯場ごとの肌の記憶をいかに刻んできたか。湯を数字で読む作法を辿る随筆。
有馬、金泉と銀泉を一山に抱く一軒 — 日本三古湯の門前に湯守の作法を継ぐ宿の記
鎌倉期に湯口屋として始まった有馬温泉最古の湯坊・陶泉 御所坊。御所泉源と妬泉源を混合した金泉を加水加温なしの掛け流しで引く一軒を、湯守の作法とともに深く辿る。