盛夏の甲府盆地、笛吹川の扇状地が朝霧に沈むころ、石和と春日居の温泉郷では客室の露天から葡萄畑を見下ろす湯が湧く。昭和三十六年に湧出した若い名湯と、明治より続く老舗の湯。葉月の早朝に味わいたい客室露天備えの五軒を、編集部が選んだ。

# 宿 エリア Score 客室 目安価格 1行特徴
1 石和名湯館 糸柳 石和温泉 95 42 ¥64–¥85k 明治十二年創業、敷地内自家源泉と関東有数の貸切風呂
2 旅館 喜仙 石和温泉 93 35 ¥36–¥59k 湯量の余裕を抱える庭園露天、料理で支持される一軒
3 銘石の宿 かげつ 石和温泉 92 36 ¥59–¥88k 四千坪の銘石庭園、純数寄屋造の客室から湯と石を望む
4 ホテルうかい 石和温泉 90 16 ¥32–¥39k 自家菜園と甲州ワインビーフ、笛吹川畔の十六室小宿
5 富士野屋夕亭 石和温泉 89 28 ¥42–¥57k 掛流し名湯百選、大浴場・露天・客室風呂全て天然温泉百%

※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。

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1. 石和名湯館 糸柳 — 石和温泉

明治十二年創業。石和温泉郷の原点に湧き続ける老舗。盛夏の朝湯に推したい一軒。

Media Picks Score: 95 / 100  42室、純和風旅館。

目安価格 ¥64,000–¥85,000 / 泊 (2名1室・通常期)


石和名湯館 糸柳 — 笛吹市石和町・明治十二年創業の老舗温泉旅館
PHOTO: 石和名湯館 糸柳 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

石和温泉のはじまりとほぼ同時に湧出した自家源泉を、敷地内から直接引く。掛け流しの大浴場と関東でも屈指の広さの貸切露天を持ち、客室タイプによっては内風呂・展望風呂を備える。明治より続く湯と建物の継承、源泉量の余裕、そして料理の手堅さ。この三点に支えられ、笛吹川扇状地の名湯を代表する宿として読者の評価が安定している。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計したところ、湯量と湯質に対する満足度が突出して高い。「源泉が新鮮」「掛け流しの実感」といった声が多く、貸切風呂の予約と利用導線が整っている点も支持を集める。一方で大型旅館ゆえの動線の長さや、繁忙期の食事会場の混雑には触れる声がある。湯と歴史を主目的にする旅程との相性が良い。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    湯を主目的にする夫婦旅、銘湯巡りの一人旅、葡萄狩りや甲州ワイン蔵巡りとの組合せ、首都圏からの一泊温泉旅程
  • 向かない:
    小規模で静かな離れ宿を望む人(42室の中規模)、和食の連泊で味の変化を強く求める食通

具体情報

  • 最寄り駅: JR石和温泉駅から徒歩約3分
  • 客室数: 42室(和室・露天風呂付き客室を含む)
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
  • 食事: 山梨食材を活かした和会席、朝食は和定食
  • 創業: 1879年(明治十二年)
  • 湯: 自家源泉、アルカリ性単純温泉、掛け流し


2. 旅館 喜仙 — 石和温泉

石和最大級の湧出量を誇る庭園露天と、料理で評価される老舗の旅館

Media Picks Score: 93 / 100  35室、和風旅館。

目安価格 ¥36,000–¥59,000 / 泊 (2名1室・通常期)


旅館 喜仙 — 石和町市部・四季を映す日本庭園と庭園露天風呂
PHOTO: 旅館 喜仙 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

四季を写す日本庭園を望む庭園露天と、石和でも有数の湧出量を抱える源泉。料理は山梨の地野菜と甲州牛・甲州ワインビーフを核に据える和会席で、品数より素材で勝負する構えが手堅い。客室は庭を望む和室を中心に、露天風呂付き客室も用意される。旅館の規模(35室)と料理の細やかさのバランスが取れている点が、価格帯に対する満足度の高さに直結している。

集約レビューの傾向

公開レビューを集約すると、料理の評価が特に高く、続いて湯の量と質に対する満足度が並ぶ。配膳の温度管理や食材の説明など、料理人と仲居の連携への言及が目立つ。客室は和の落ち着きを支持する声が中心で、設備の新しさを最優先する旅程には合わないとの指摘もある。湯と食を等価値に置く滞在に適している。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    食を旅の目的に据える夫婦旅、葡萄畑と笛吹川を一日で歩く旅程、葉月の庭園露天を望む宿選び
  • 向かない:
    モダンな客室設備を最優先する人、洋食中心の食を望む人、極端な静寂を求める一人旅

具体情報

  • 最寄り駅: JR石和温泉駅から徒歩約12分(送迎あり)
  • 客室数: 35室(庭園を望む和室、露天風呂付き客室)
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
  • 食事: 山梨食材の和会席、甲州牛・甲州ワインビーフを核に
  • 創業: 1968年(昭和四十三年)
  • 湯: 自家源泉、庭園露天と大浴場、石和最大級の湧出量


3. 銘石の宿 かげつ — 石和温泉

四千坪の銘石庭園を歩いて巡る純数寄屋造り。石の宿、と呼ぶにふさわしい一軒。

Media Picks Score: 92 / 100  36室、純数寄屋造りの旅館。

目安価格 ¥59,000–¥88,000 / 泊 (2名1室・通常期)


銘石の宿 かげつ — 笛吹市石和町・四千坪の銘石庭園と数寄屋造り客室
PHOTO: 銘石の宿 かげつ — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

全国から集めた銘石と巨岩で構成された四千坪規模の日本庭園を擁し、その庭を望む位置に純数寄屋造りの客室を並べる。露天風呂付き客室の比率も高く、八田の集落と笛吹川の中州にある立地は石和温泉郷のなかでも独立した雰囲気を保つ。庭そのものを滞在体験の主役に据える宿として、温泉以上に庭の鑑賞を目的に訪れる客もいる。

集約レビューの傾向

公開レビューの集約では、庭の意匠と建物の格、そして接客の落ち着きを評価する声が中心を占める。客室露天の湯量と質も支持されるが、湯そのものの個性よりも「庭を見ながら入る湯」という体験への言及が目立つ。一方で食事は控えめに評価される傾向があり、料理を最優先する旅程には別の選択肢がある。建築と庭、湯の三位一体を求める滞在に適している。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    日本庭園と建築意匠を旅の目的にする夫婦旅、客室露天で静かに過ごす記念日、海外からの旅行者
  • 向かない:
    料理を旅の主目的に据える食通、活気のある温泉街歩きを優先する旅程、コスト重視の人

具体情報

  • 最寄り駅: JR石和温泉駅から車で約5分(送迎あり)
  • 客室数: 36室(純数寄屋造り、露天風呂付き客室を多数含む)
  • 庭園: 約4,000坪、全国の銘石・巨岩を配した日本庭園
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
  • 食事: 山梨の旬を活かした和会席


4. 石和温泉郷 自家菜園の宿 ホテルうかい — 石和温泉

十六室の小宿。自家菜園と甲州ワインビーフ、笛吹川畔の静かな朝湯を持つ。

Media Picks Score: 90 / 100  16室、和風旅館。

目安価格 ¥32,000–¥39,000 / 泊 (2名1室・通常期)


石和温泉郷 自家菜園の宿 ホテルうかい — 笛吹川畔の十六室小宿、自家菜園野菜と甲州ワインビーフ
PHOTO: 石和温泉郷 自家菜園の宿 ホテルうかい — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

笛吹川畔の十六室小宿。石和温泉郷のなかでも特に小規模で、繁忙期でも宿全体に流れる時間が静か。自家菜園で育てた野菜と甲州ワインビーフ、地酒で組み立てる料理は、品数より旬と素材で勝負する構え。大浴場と露天は天然温泉で、客室タイプによっては客室露天も備える。価格帯に対して、食と湯の両面で満足度が高い。

集約レビューの傾向

公開レビューを集約すると、料理に対する評価が突出する。自家菜園野菜の鮮度、甲州ワインビーフの肉質、地酒との組み合わせへの言及が多い。続いて宿の静かさと運営の丁寧さへの評価が並ぶ。湯量を主目的にする旅程よりも、二人で静かに過ごし、夕食を中心に据える旅程に適する。大規模旅館の華やかさを期待すると印象は変わる。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    食を旅の主目的にする夫婦旅、二人静かに過ごす記念日、葡萄狩りと笛吹川散策の組合せ
  • 向かない:
    大浴場の規模を優先する湯目的の旅、団体旅行や大宴会を伴う旅程、活気を求める旅

具体情報

  • 最寄り駅: JR石和温泉駅から車で約5分(送迎あり)
  • 客室数: 16室(露天風呂付き客室を含む)
  • 立地: 笛吹川畔
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
  • 食事: 自家菜園野菜、甲州ワインビーフ、地酒の和会席


5. 富士野屋夕亭 — 石和温泉

名湯百選の掛流し。大浴場・露天・客室風呂すべて天然温泉百%を貫く一軒。

Media Picks Score: 89 / 100  28室、和風旅館。

目安価格 ¥42,000–¥57,000 / 泊 (2名1室・通常期)


富士野屋夕亭 — 笛吹市石和町・名湯百選の掛流しと七つの湯
PHOTO: 富士野屋夕亭 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

七つの湯を擁し、大浴場・露天・客室風呂のすべてを天然温泉百%・掛け流しで運用する。名湯百選にも選ばれた泉質は、肌に柔らかいアルカリ性単純温泉。客室は和室を中心に、露天風呂付き客室も用意される。料理は山梨の地産食材を中心に据える和会席で、湯と食の両輪で旅館として手堅い構えを取る。

集約レビューの傾向

公開レビューを集約すると、湯量と泉質に対する満足度が高く、特に客室風呂まで掛け流しを徹底している点が支持される。客室は和の落ち着きが評価される一方、建物の年代を感じる点に触れる声もある。料理は安定した評価で、突出した個性より旅館の総合点を求める旅程に適している。湯を朝晩しっかり浸かりたい人に向く。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    湯を主目的にする旅、客室の浴槽まで天然温泉を求める人、首都圏からの一泊温泉旅程
  • 向かない:
    最新設備の客室を望む人、洋食や創作料理を優先する旅、極小規模の隠れ宿志向

具体情報

  • 最寄り駅: JR石和温泉駅から車で約5分(送迎あり)
  • 客室数: 28室(露天風呂付き客室を含む)
  • 湯: 名湯百選、アルカリ性単純温泉、七つの湯すべて掛け流し
  • チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
  • 食事: 山梨地産の和会席、朝食和定食
  • 創業: 1964年(昭和三十九年)


よくある質問

Q. 盛夏の石和・春日居でおすすめの時間帯は?

A. 編集部が推すのは早朝五時から五時半の朝湯。甲府盆地が朝霧に沈み、葡萄畑の青と笛吹川の流れが涼やかに見える時間帯。盛夏の昼は気温三十五度を超える日も多く、湯あたりを避けるためにも朝と夕の二度の湯浴みが向く。チェックイン前後は宿の館内で休む旅程が無理がない。

Q. 客室露天と大浴場、両方ある宿は?

A. 本記事の五軒はいずれも大浴場と露天を備え、糸柳・かげつ・喜仙・うかい・富士野屋は客室タイプにより露天風呂付き客室を選べる。完全な客室露天専用宿ではなく、大浴場の湯量と客室の独立性のバランスで選ぶ構造。盛夏は大浴場で長く浸かるよりも、客室露天で短く何度も入る湯浴みが向く。

Q. 葡萄狩りやワイナリーとの組合せは?

A. 石和・春日居から勝沼ぶどう郷まで車で十五分程度。盛夏は早生種の葡萄狩り、八月後半からは巨峰やピオーネが旬を迎える。甲州ワインの蔵元も多く、宿で予約や送迎を相談できる場合がある。一泊で葡萄畑と温泉、二泊なら勝沼の蔵元巡りまで含めた旅程が組める。

Q. 笛吹市の石和温泉郷と春日居温泉郷の違いは?

A. 石和温泉郷は昭和三十六年(1961年)に湧出した比較的若い名湯で、規模は中規模旅館が中心。春日居温泉郷はより小さく、明治からの自噴泉を擁する宿が点在する。本記事の五軒はいずれも石和側に位置するが、春日居温泉郷にも掛け流しの小宿が残る。湯巡りの旅程なら両郷を組み合わせる選択もできる。

Q. 予約のタイミングは?

A. 盛夏(七月後半〜八月)と紅葉期(十月後半〜十一月)は二〜三ヶ月前から客室露天付きの部屋が埋まり始める。糸柳・かげつのような大規模旅館でも、露天付き客室は早い段階で予約が動く。週末は更に競争が激しく、平日との価格差も大きい。一名利用や子連れ可否は宿により方針が異なるため、直接の確認が確実。

本記事の参考情報

石和温泉観光協会 — 石和温泉郷の歴史・湯質・旅館一覧
ふえふき観光ナビ — 笛吹市公式観光情報、春日居温泉郷の旅館情報
Wikipedia: 石和温泉 — 1961年湧出の経緯と温泉郷の地理

編集部から

葡萄畑のひろがる甲府盆地の東端、笛吹川の扇状地に湧く湯は、若いものでも昭和三十六年からの蓄積を持つ。糸柳の明治十二年、かげつの銘石庭園、喜仙の庭園露天、うかいの自家菜園、富士野屋の名湯百選——五軒それぞれに、宿として何を残してきたかが、湯と建物と料理に分散して刻まれている。盛夏の朝五時、客室露天の縁から見下ろす葡萄畑の青と、笛吹川を渡る朝霧の白。葉月に山梨の湯を選ぶなら、まずはこの五軒から検討したい。