梅雨が明け、石見の海に光が戻る頃、温泉津の港にはノドグロが揚がり、益田の高津川には鮎が遡る。日本海の白身とノドグロを継ぐ宿に一夜、清流の鮎と石見和牛を供する宿にもう一夜。二泊三日で石見海岸の食卓を辿る道行きとして、Yadolist 編集部が二軒を選んだ。素材と土地を主語に、料理を旅の目的とする読者へ届けたい。
| 行程 | 宿 | エリア | Score | 客室 | 目安価格 | 食の軸 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 一泊目 | 輝雲荘 | 温泉津温泉・大田市 | 84 | 14 | ¥44–¥61k | ノドグロと日本海の白身を継ぐ会席 |
| 二泊目 | マスコスホテル益田温泉 | 益田市 | 92 | 85 | ¥15–¥30k | 石見和牛と高津川の恵みを供するダイニング |
Media Picks Score は、公開レビューデータを集計し、立地・規模・料理の土地性など編集部の評価を重ねた総合指標です。
※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。
一泊目|温泉津 — 輝雲荘(大田市・温泉津温泉)
世界遺産の湯町・温泉津の中心に建ち、日本海のノドグロと白身を会席で継ぐ十四室の宿。
Media Picks Score: 84 / 100 14室、旅館。
目安価格 ¥44,000–¥61,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
湯が、まず旅人を迎える。石見銀山の積み出し港として栄え、いまも重要伝統的建造物群保存地区に数えられる温泉津の湯町。その石畳の中ほどに輝雲荘は建ち、源泉かけ流しの内湯と露天を備える。理由は三つ。世界遺産の町並みに宿を構える立地、温泉津らしい湯質、そして日本海の白身とノドグロを軸に据えた会席。港の恵みを、湯とともに味わう一軒である。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、湯の良さと魚の鮮度を挙げる声が全体を通じて安定して確認できる。露天からの湯町の眺めと、個室で供される会席への評価が中心を占める一方、館内は本館・別館・離れが入り組む造りで、段差や動線に触れる感想も見受けられる。設えの新しさより、湯町の情緒と土地の魚を求める旅人に、傾きの見える宿と言える。
向く人 / 向かない人
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向く:
日本海の白身やノドグロを目当てにする食通、世界遺産の湯町を歩きたい夫婦旅、源泉かけ流しの湯を静かに味わいたい人 -
向かない:
段差の少ない新しい設備を望む人、洋室中心の滞在を好む人、料理より観光の周遊を主とする短い旅程
具体情報
- 最寄り駅: JR山陰本線・温泉津駅から車で約5分(徒歩約20分)
- 客室: 14室(本館・別館・離れ)
- 湯: 源泉かけ流しの内湯と露天風呂
- 食事: 個室で供される会席(日本海の白身・ノドグロ)
- 周辺: 温泉津温泉街(重要伝統的建造物群保存地区・石見銀山遺跡)
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
二泊目|益田 — マスコスホテル益田温泉(益田市)
高津川の河口に近い益田駅前で、石見和牛と土地の恵みをダイニングに据えた源泉の宿。
Media Picks Score: 92 / 100 85室、温泉ホテル。
目安価格 ¥15,000–¥30,000 / 泊 (2名1室・通常期)

なぜ選ばれるか
建物が、この土地の工房と手を組んでいる。2019年に益田駅前へ開いたマスコスホテルは、器も家具も布も地元の窯元・職人と共に作り上げたクラフトホテルを掲げる。理由は三つ。石見和牛を軸に据えたダイニング、益田温泉の源泉かけ流しとサウナ、そして駅から徒歩五分という高津川流域への起点の良さ。海の温泉津から川と牛の益田へ——石見の食卓を締めくくる二夜目に据えた一軒である。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、料理の満足度と館内の設えを評価する声が広く安定して確認できる。石見和牛を中心とした食事と、器や内装に土地の手仕事を感じるという感想が目立つ。源泉の湯とサウナへの評価も高い。一方で、静けさを最優先する層には駅前という立地が人を選ぶ場面もある。土地の食と工芸を一度に味わいたい旅人に、強く傾く宿と言える。
向く人 / 向かない人
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向く:
石見和牛や高津川流域の食を味わいたい人、土地の工芸を宿の設えで感じたい人、駅前の利便と源泉の湯を両立させたい旅程 -
向かない:
鄙びた温泉情緒を求める人、山あいの静けさを最優先する滞在、和室での布団の寝起きにこだわる人
具体情報
- 最寄り駅: JR益田駅から徒歩約5分(萩・石見空港から車で約10分)
- 客室: 85室(和室・洋室・和洋室)
- 湯: 益田温泉の源泉かけ流し、サウナを併設
- 食事: MASCOS BAR & DINING(石見和牛・土地の食材)
- 開業: 2019年4月
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
よくある質問
Q. ベストシーズンはいつですか?
A. 梅雨明けから初秋にかけてが、海と川の恵みが重なる時季にあたる。温泉津のノドグロは夏から脂が乗り始め、高津川の鮎は初夏から夏に旬を迎える。湯町の情緒を静かに味わうなら、人出の落ち着く晩夏を編集部は推したい。
Q. 二泊三日の移動はどう組めばよいですか?
A. 一泊目の温泉津から二泊目の益田までは、日本海沿いを西へおよそ50キロの道のり。JR山陰本線の各駅停車、または国道9号を車で辿るのが分かりやすい。地図に重ねた二軒は海岸線に沿って並び、途中の石見海岸や港町を挟みながら半日ほどで結べる。
Q. 料理の内容や食材の対応は相談できますか?
A. いずれの宿も土地の食材を主に据えるため、仕入れは季節と海況に左右される。ノドグロや鮎、石見和牛といった品目や、苦手な食材への配慮は、予約時に各宿へ直接確かめるのが確実である。
Q. 温泉の湯質や効能は異なりますか?
A. 温泉津は古くから湯治の湯として知られ、源泉かけ流しの内湯と露天が楽しめる。益田のマスコスホテルも源泉かけ流しを備え、サウナを併設する。海辺の湯町の情緒と、駅前の整った湯——性格の異なる二つの湯を、一度の旅で辿ることになる。
Q. 子ども連れでも泊まれますか?
A. いずれも家族での宿泊は可能だが、輝雲荘は本館・別館・離れが入り組み段差もあるため、幼い子ども連れは動線を確かめておきたい。益田のマスコスホテルは駅前で客室の選択肢も広く、比較的動きやすい。年齢に応じた対応は各宿へ相談を。
本記事の参考情報
・しまね観光ナビ(島根県公式観光情報サイト) — 石見エリアの観光情報
・島根県益田市観光公式サイト — 益田・高津川流域の情報
・Wikipedia: 温泉津温泉 — 湯町の歴史と地理の背景
編集部から
海の温泉津から川と牛の益田へ。この二泊三日を貫くのは、石見という土地が海・川・山の恵みを短い距離のうちに抱えているという事実である。ノドグロの脂、鮎の香り、石見和牛のうまみ——それぞれが揚がり、遡り、育つ場所を、湯に浸かりながら舌で辿る。梅雨明けの光の下、石見の食卓はもっとも豊かな表情を見せる。次はどの土地の食を、宿とともに辿ってみたいだろうか。