梅雨明けの加賀、大聖寺川と鶴仙渓を抜けて山中温泉に入り、翌日は手取川の上流、白山一里野へと内陸を辿る二泊三日。海岸の名宿群とは別系統に、料理長を継ぐ食通宿の谷筋がある。鶴仙渓の天然鮎、白山菊酒の冷や、白山一里野の岩魚と山菜。料理を主目的に据えた二軒を、編集部が選んだ。

行程 宿 エリア Score 客室 目安価格 食の主軸
Day1-2 山中温泉 厨八十八 加賀市山中温泉 95 24 ¥73–¥100k 鶴仙渓の天然鮎・館内厨房の月替り十味
Day2-3 一里野高原ホテル ろあん 白山市尾添 89 29 ¥44–¥65k 白山一里野の岩魚・堅豆腐・囲炉裏の炭火
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※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。

Day 1 — 加賀から山中温泉へ。鶴仙渓の鮎を受ける

金沢駅で在来線に乗り換え、加賀温泉駅で降りる。バスで大聖寺、九谷を抜け、午後には山中温泉に到着する。鶴仙渓の遊歩道を歩き、こおろぎ橋から黒谷橋までの一・三キロこおろぎ橋から黒谷橋までの一里。川面に立つ夕霧と、瀬の音を耳に置いてから、宿に入るのがよい。

1日目の宿. 山中温泉 厨八十八 — 加賀市山中温泉菅谷町

屋号に「厨」を据え、料理長の手仕事を館の中心に置く山中の一軒。鮎の解禁とともに静かに動き出す。

Media Picks Score: 95 / 100  24室、料亭旅館。

目安価格 ¥73,000–¥100,000 / 泊 (2名1室・通常期)


山中温泉 厨八十八 — 加賀市山中温泉菅谷町 · 屋号に料理を据えた山中の料亭旅館
PHOTO: 山中温泉 厨八十八 — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

屋号の「八十八」は、米一粒が育つのに要する八十八日を指す。館内には料亭街「厨」が据えられ、料理人がその場で仕上げた皿が客の前へ運ばれる。月替りの献立「やそはち十味」は下ごしらえから化学調味料を使わず、地の素材に手数を重ねる。鶴仙渓の鮎、九谷焼の皿、加賀の地酒。料理を旅の主軸に据える人に、編集部が真っ先に推したい一軒である。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計したところ、料理の構成と仕上げに対する評価が突出して高い。月替りの献立が一品ずつ最適な温度で供されること、夕食を個室で受けられること、朝食の鯛茶漬けと焼き魚の質に言及が集まる傾向が見て取れる。竹林を望む客室と、館内の静けさへの言及も多い。一方で、駅からの距離と棟内の階段については旅程に組み込んでおく必要がある、と編集部は読む。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    料理を旅の主軸に据える夫婦旅、北陸の食文化と地酒に造詣のある人、静けさを優先する大人ふたりの記念旅
  • 向かない:
    幼児連れの家族旅、短時間の温泉巡りで宿に戻る時間が少ない旅程、洋食中心の食を望む人

具体情報

  • 最寄り駅: JR加賀温泉駅からバスで約30分(送迎の有無は公式サイトで要確認)
  • 所在地: 石川県加賀市山中温泉菅谷町ロ62
  • 客室: 24室、全室から竹林を望む
  • 食事: 月替り献立「やそはち十味」、館内料亭街「厨」での仕上げ供応
  • 送迎: 加賀温泉駅から送迎あり(要予約・公式サイト参照)


Day 2 — 鶴仙渓から手取峡谷へ。白山麓に越える

翌朝、山中温泉の総湯「菊の湯」に立ち寄ってから、加賀の谷を東へ抜ける。手取川の本流に沿って遡上し、鳥越から白峰、尾添へ。手取峡谷の渓谷、白峰の堅豆腐と栃餅、白山菊酒の蔵元を経由しつつ、午後には白山一里野温泉に着く。標高は六五〇メートル、空気は乾き、山の輪郭は近い。

2日目の宿. 一里野高原ホテル ろあん — 白山市尾添

白山一里野の高原に、築百年の古民家を移築した囲炉裏を構える料理宿。岩魚と堅豆腐、白山の地物が炭火に並ぶ。

Media Picks Score: 89 / 100  29室、料理宿。

目安価格 ¥44,000–¥65,000 / 泊 (2名1室・通常期)


一里野高原ホテル ろあん — 白山市尾添 · 白山一里野温泉の囲炉裏を構える料理宿
PHOTO: 一里野高原ホテル ろあん — 公式サイトを見る →

なぜ選ばれるか

白山一里野の標高約五百四十メートルの高原白山一里野の標高六五〇メートルの高原に、築百年の古民家を移築した囲炉裏間が館の中心に据えられている。岩魚、白山堅豆腐、地物の有機野菜、飛騨牛を炭火と炉端に並べる構成で、地物の食材を「白山の山」という土地の文脈で読み解くつくり。源泉かけ流し百パーセントの湯は、森林浴を兼ねた畳敷きの露天と内湯。山中温泉とは別の系統の食通宿として、編集部が二日目に推す一軒である。

集約レビューの傾向

公開レビューデータを集計したところ、囲炉裏での夕餉の供応と、岩魚の塩焼き・堅豆腐への評価が高い。山の宿としての落ち着きと、館内全ての湯が源泉かけ流しである点への言及が集まる傾向にある。標高による夏の涼しさ、星空と虫の音への言及も目立つ。一方で、白山一里野までのアクセスには時間を要する旨が読み取れ、運転と公共交通の両面で旅程に余裕を持たせる必要がある、と編集部は読む。

向く人 / 向かない人

  • 向く:
    内陸の山宿で炉端の食を受けたい夫婦・友人旅、源泉かけ流しの湯を重視する人、白山登山や白山スーパー林道を組み合わせる旅程
  • 向かない:
    最寄り駅からの移動を最小化したい旅程、都市的なリゾート設備を望む人、洋食主体の食を望む人

具体情報

  • 最寄り駅: JR金沢駅から車で約60分(北陸自動車道・金沢森本IC経由)JR金沢駅から車で約90分(白山スーパー林道方面)
  • 所在地: 石川県白山市尾添チ70-4
  • 標高: 約540m、白山一里野温泉
  • 標高: 約650m、白山一里野温泉
  • 食事: 囲炉裏での炭火炉端、岩魚・白山堅豆腐・飛騨牛・地物有機野菜
  • 湯: 全ての浴槽が24時間源泉かけ流し100%
  • 客室: 29室


Day 3 — 白山麓から金沢へ戻る

三日目の朝は、ろあんの源泉かけ流しを朝湯に。荷物をまとめ、白山比咩神社で旅の終わりを納めてから、鶴来を経て金沢駅に戻る。手取川の蔵元巡りを午後に組み込めるなら、白山菊酒の四蔵を訪ねるのもよい。北陸新幹線で東京・大阪へ抜ける時刻には、加賀の食の記憶が静かに沈み込んでいる。

よくある質問

Q. ベストシーズンはいつですか?

A. 鮎を主軸に据えるなら、梅雨明け直後から土用にかけて。鶴仙渓の天然鮎漁は六月解禁、七月から八月初旬が脂の乗る時期。白山一里野は標高約五百四十メートルで、平地より三度ほど涼しい白山一里野は標高六五〇メートルで、平地より三度ほど涼しい。盛夏の旅としての涼を取りつつ、地物の食の旬を受けるなら七月中旬から八月初旬が編集部の推す時期である。

Q. 二軒のあいだの移動は?

A. 山中温泉から白山一里野までは車での移動が現実的で、白山白川郷ホワイトロード方面のルートが一般的。公共交通だけで完結するのは難しく、レンタカーか宿の送迎、もしくはタクシーの組み合わせを旅程に組み込む必要がある。手取峡谷・白峰の集落を経由するなら、車での移動が圧倒的に向く。

Q. 白山菊酒はどこで体験できますか?

A. 白山菊酒は手取川流域の四蔵(菊姫・天狗舞・萬歳楽・手取川)が名乗ることを許された地酒群で、いずれも鶴来・白山市内に蔵を構える。両宿で食事と合わせて出される銘柄が中心となるが、蔵見学を組み込む場合は鶴来エリアの蔵元に事前予約が必要となる。

Q. 子連れでも泊まれますか?

A. 厨八十八は料理重視の静かな構成で、未就学児の同伴については公式サイトで事前に確認を要する。一里野高原ホテル ろあんは囲炉裏間のあるつくりで、火元への配慮が必要となる。いずれも夫婦旅・友人旅を主軸とした設計で、幼児を伴う旅程には他の宿の検討も視野に入る。

Q. アクセスは?

A. 北陸新幹線で金沢駅、もしくは加賀温泉駅まで。山中温泉までは加賀温泉駅からバスで約30分(厨八十八までは公式サイトの送迎案内を参照)。白山一里野までは金沢駅から車で約60分、白山白川郷ホワイトロード方面のルートが一般的である白山一里野までは金沢駅から車で約90分、白山スーパー林道方面のルートが一般的である

本記事の参考情報

ほっと石川旅ねっと — 石川県観光連盟の公式観光サイト
うらら白山人 — 白山市観光・旅行情報サイト
Wikipedia: 山中温泉 — 山中温泉の歴史と地理

編集部から

北陸の食通宿は、海岸の名宿群が脚光を浴びがちだが、内陸の谷筋には別系統の継承がある。鶴仙渓の鮎、白山菊酒、白山一里野の岩魚と堅豆腐。料理長を館の中心に据え、地物の食材を旅の主軸に据える宿は、海とは違う時間の流れを連れてくる。本記事で取り上げた二軒は、山中温泉と白山麓という近接しつつも気質の異なる二つの土地を、一つの旅程で結ぶ装置である。秋の松茸、冬の蟹を主軸にした内陸の旅程も、次の特集で辿ってみたい。

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