長野県
外湯という共同体 — 湯町の宿が、いかに戸口の湯場を里に返してきたか
白露の候、城崎・野沢・湯田中渋・別所——宿の内湯とは別に里が守る「外湯」を持つ湯町の宿と町の関係を、歴史・制度・作法の三軸で辿るエッセイ。西村屋本館と桐屋旅館を実例に、宿が湯を里に返してきた小さな契約を描く。
夏の献立に、なぜ氷が立つのか — 旅館の料理長が涼を盛りつけてきた作法について
盛夏の夕餉に旅館の料理長が立てる氷盤。鱧の落とし、青楓を散らした向附、冷やし鉢——夏の二十数日のためだけに組み立てられる懐石の作法を、五軒の旅館の献立から静かに辿る。
白濁という現象 — 湯が色を帯びる瞬間に、湯場が何を見てきたか
湯はもともと無色である。地中で熱せられ岩盤を伝う湯が、空気に触れた瞬間に色を帯びる――白骨・雲仙小地獄・ニセコ五色、三つの湯場が読み続けてきた白濁の作法を辿るエッセイ。
信州渋と湯田中、横湯川の九湯を歩く湯宿五軒 — 外湯の鍵を継ぐ志賀高原山麓の里
信州・山ノ内の渋温泉と湯田中温泉。九つの外湯の鍵を宿が手渡す共同湯文化を軸に、横湯川沿いの湯宿五軒を地図とともに編んだ。文化財の桃山風呂、四源泉のかけ流し、木造四階の斉月楼。
湯札という証 — 旅館の湯場に下げられた一枚の木札が、いかに湯の権利を継いできたか
夏の朝、外湯の戸口に揺れる湯札。湯量の限られた谷で湯の権利と順番を代々継いできた小さな木札を糸口に、城崎・野沢の外湯文化と老舗旅館の継承を辿る随筆。
信州上高地から白骨、離れに二泊する晩夏の三日間 — 梓川の清流と乳白の湯に棟を分ける旅
梓川を遡り、さわんどの清流沿いから白骨の乳白硫黄泉へ。棟を分ける離れの宿に二泊する晩夏の二泊三日の旅程を、季節の語りとともに編んだ。
丹後から但馬へ、離れに二泊する梅雨明けの三日間 — 天橋立から香住、日本海岸の独立棟を辿る旅
梅雨明けの日本海岸を、独立棟の宿だけで辿る二泊三日。天橋立を望む丹後の離れから府県境を越え、夕日ヶ浦の平屋離れ、但馬の古民家を移した離れへ。湯を棟で完結させる三軒を、海岸線の景とともに結んだ旅程。
善光寺門前、長野の御開帳の里に代を継ぐ名旅館四軒 — 七年に一度の参詣道に灯る宿の今
長野・善光寺門前に、参詣客を泊めてきた名旅館と宿坊を四軒。境内の永代宿坊から仲見世の老舗まで、湯ではなく祈りを主語に据えた門前の系譜を、地図とともに編む。
信州蓼科と奥蓼科、八ヶ岳西麓の森に棟を分ける離れ五軒 — 白樺と苔の谷に置く夫婦の静けさ
梅雨明けの蓼科・奥蓼科、八ヶ岳西麓の森に棟を分けて建つ離れ形式の宿を五軒。独立棟の規模と源泉の有無を明記し、夫婦の静かな時間に向けて選んだ。
信州諏訪と上諏訪、御柱の里に代を継ぐ名旅館四軒 — 諏訪湖を望む湯場の現在
夏至前の諏訪湖は朝霧と湯気の混じる季節。御柱の里・上諏訪温泉に代を継ぐ名旅館四軒を、湖岸通りの地図と湯量・創業年・地域祭礼との関わりで紹介する。