霜月の末、丹波篠山の城下で猪鍋と黒豆を待ち、翌日は北へ山を越えて、城崎の外、津居山の港筋で松葉蟹を迎える。そんな二泊三日のために、編集部が選んだ食通宿五軒を紹介します。一泊目は篠山城跡のすぐ脇、慶長十四年(1609年)の開業を伝える料理旅館と、商家と武家屋敷を宿に仕立てた分散型の宿。二泊目は円山川のほとりに十六室だけを置く湯宿、日和山の岬に建つ老舗の大型旅館、竹野の入江を見下ろす公共の宿です。黒枝豆の季節が過ぎ、畑では刈り取りを待つ黒大豆の株が茶色く乾いていく頃。日本海では十一月六日に蟹漁が解禁され、港に札付きの蟹が並び始めます。山の膳から海の膳へ、二つの土地の旬が一本の道でつながる時季を、宿の歴史と料理の背景とともに辿ります。
| # | 宿 | エリア | 客室 | 目安価格 | 1行特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 料理旅館 近又 | 丹波篠山市(一泊目) | 6 | ¥64–¥81k | 慶長期の開業を伝え、自家の味噌で猪鍋を炊く城下の料理旅館 |
| 2 | 篠山城下町ホテル NIPPONIA | 丹波篠山市(一泊目・別案) | 18 | ¥79–¥130k | 城下に点在する七棟の古民家に泊まり、丹波の食材をフレンチで |
| 3 | 城崎 円山川温泉 銀花 | 豊岡市小島(二泊目) | 16 | ¥100–¥169k | 二千坪に十六室、全室檜展望風呂。津居山港の蟹を一人二杯で |
| 4 | 日和山ホテル金波楼 | 豊岡市瀬戸(二泊目・別案) | 70 | ¥73–¥109k | 日和山の岬に建ち、津居山漁港から毎日仕入れる自家源泉の宿 |
| 5 | 休暇村竹野海岸 | 豊岡市竹野町(二泊目・別案) | 48 | ¥43–¥65k | 北前船の港町竹野の入江を見下ろす、近隣漁港直送の公共の宿 |
※ 目安価格は公開販売価格の集計に基づく参考値で、実際の予約料金とは異なります。1泊2名利用時の1室あたり料金(税込)です。向こう三か月の販売価格を基にしているため、蟹の季節にかかる二泊目の宿は年間の平均より高めに出ます。地図の点線は一泊目から二泊目への移動をおおまかに示したもので、実際の道筋ではありません。
一日目 — 中国道から舞鶴若狭道へ、篠山の城下に入る
大阪や神戸から車で向かうなら、中国自動車道を吉川JCTで舞鶴若狭自動車道に乗り継ぎ、丹南篠山口ICで降ります。そこから城下までは3kmほど。電車ならJR福知山線の篠山口駅が玄関口です。篠山城は慶長十四年(1609年)、徳川家康の命で築かれた城で、城下には商家の町並みと武家屋敷群がいまも残ります。霜月の盆地は朝霧が深く、昼には晴れて、夕方には底冷えがする。猪鍋を囲むにはちょうどよい寒さです。昼過ぎに着いたら城跡と二階町の通りを歩き、日が傾く頃に宿へ入る。それが一日目の流れです。
1. 料理旅館 近又 — 丹波篠山市二階町
篠山城の築城と同じ頃に開いたと伝わる料理旅館。自家の味噌で炊く猪鍋を目当てに泊まる、全六室の一軒です。
6室、料理旅館(一泊目の本命)。
目安価格 ¥64,000–¥81,000 / 泊 (2名1室)

なぜ選ばれるか
旅の主題である「丹波の山の膳」を、いちばん筋の通ったかたちで出す宿だからです。宿の記録によれば、篠山城の築城と同じ慶長十四年(1609年)に城下で開いた「近江屋」が始まりで、当主は代々「近江屋又兵衛」を名乗り、明治初年に屋号を「近又」と改めました。看板の猪鍋は、第十代の当主が猪肉に合う味噌を研究して仕上げたものと伝わります。猪肉は野生のものだけを使い、締めは鍋の出汁で半熟卵をとじる「ぼたん丼」。昭和五十五年の暮れには、宿で手作りした黒豆の瓶詰を皇室に献上しています。黒豆と猪鍋を一つの宿で語れる点が、この行程の起点にふさわしいと判断しました。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、評価の中心は料理、とりわけ猪鍋の味噌と肉質にあり、食事を目的に泊まる層からの支持が厚い宿です。創業当時の木の階段や玄関の天井といった建物の古さも、好意的に受け止められています。一方で、温泉や大浴場を期待した人からは物足りなさが残る傾向があり、館内に売店や自動販売機がないことも人を選びます。なお、2026年5月から9月までリニューアル工事のため休業し、10月1日に営業を再開しています。集計の多くは改装前の滞在によるもので、客室の印象は今後変わりうる点を断っておきます。
向く人 / 向かない人
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向く:
猪鍋や丹波の地物を旅の主目的にする夫婦旅、城下町を歩いて宿に戻りたい人、建物の来歴に関心のある人 -
向かない:
温泉を重視する人(館内に温泉はなく、近くの温泉まで車で約30分)、遅い時刻に着く旅程(17時を過ぎる到着は夕食に影響が出ることがある)、大人数のグループ(客室は六室のみ)
具体情報
- アクセス: JR福知山線 篠山口駅からバス約15分「二階町」下車、徒歩2分。舞鶴若狭自動車道 丹南篠山口ICから約3km。篠山城跡まで徒歩3分
- 客室: 全6室(洋室ツイン中心、和室1室)。広さは15.31〜24.07畳、新館3階の「桜」は36㎡
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
- 食事: 夕食は17:00〜18:30に開始、朝食は8:00〜8:30。猪鍋は通年、10月1日〜11月5日は松茸会席も
- 駐車場: 無料4台(満車時は市営駐車場を案内)
- 創業: 1609年(慶長十四年)と宿は伝える。2026年10月に改装を終えて営業再開
2. 篠山城下町ホテル NIPPONIA — 丹波篠山市西町
城下に散らばる七棟の古民家を一つの宿に見立て、丹波の黒大豆や猪をフレンチの皿で出す一軒です。
18室(7棟)、分散型の古民家ホテル(一泊目の別案)。
目安価格 ¥79,000–¥130,000 / 泊 (2名1室)

なぜ選ばれるか
近又とは別の角度から、丹波篠山の食と町並みを味わえる宿です。重要伝統的建造物群保存地区に点在する七棟十八室を「まち全体で一つのホテル」として運営し、フロント棟の「ONAE」は明治期に建てられた銀行頭取の邸宅です。夕食は丹波黒大豆、山の芋、丹波栗、猪肉といった里山の産物をフレンチのコースに仕立て、丹波焼の器で出します。猪肉を八時間煮込んだコンソメは、この宿の看板の一皿です。朝は丹波立杭焼の土鍋で炊く地元のデカンショ米と、黒豆味噌の味噌汁。和の膳にこだわらず、黒豆と猪を別の言葉で味わいたい人に向く選択肢として加えました。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、古民家の設えと町並みの中に泊まる体験への評価が高く、スタッフの案内の丁寧さにも好意的な傾向が見て取れます。夕食のフレンチは地元食材の使い方で支持を集める一方、価格帯に対する受け止めは分かれます。棟が町に散っているぶん、フロントから客室まで外を歩くことがあり、雨の日や荷物の多い旅では手間に感じる人もいます。バリアフリーには対応していない点も、事前に知っておきたいところです。
向く人 / 向かない人
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向く:
古い建物に暮らすように泊まりたい人、和食と洋食を旅程の中で変えたい人、愛犬と旅する人(対応する棟あり) -
向かない:
段差や階段が負担になる人(バリアフリー非対応、メゾネットの棟が多い)、温泉に入りたい人(温泉施設はない)、猪鍋そのものを目当てにする人
具体情報
- アクセス: JR篠山口駅から送迎あり(駅発14:30/16:30、前日までに要予約)。丹南篠山口ICから一般道で約10分
- 客室: 7棟18室、定員1〜4名。檜風呂付きの棟や一棟貸切の棟もある
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜11:00
- 食事: 夕食は10席のレストラン「LE UN(ルアン)」でフレンチのコース、朝食は和膳
- その他: 6歳まで添い寝可、ペット可の棟あり、駐車場あり
二日目 — 北近畿豊岡自動車道を北へ、円山川の河口へ
朝は城下の通りをもう一度歩き、黒豆の店を覗いてから出発します。この時季、畑では刈り取った黒大豆の株を乾かす作業が続き、収穫と出荷は師走に最盛期を迎えます。新豆を手にするには少し早いものの、乾いた株が並ぶ盆地の景色は霜月ならではです。丹南篠山口ICから舞鶴若狭自動車道を春日JCTまで進み、北近畿豊岡自動車道に乗り継いで但馬へ。豊岡から円山川沿いを下ると、川幅が広がり、やがて河口の漁港、津居山に出ます。所要は車で二時間前後。冬は路面の凍結に備え、冬用タイヤかチェーンを用意してください。二泊目の三軒はいずれも城崎温泉の湯の町の外にあり、港に近い場所で蟹を待つことになります。
3. 城崎 円山川温泉 銀花 — 豊岡市小島
円山川のほとり、二千坪に十六室。全室の檜展望風呂から川面を眺め、津居山港の蟹を一人二杯で味わう宿です。
16室、温泉旅館(二泊目の本命)。
目安価格 ¥100,000–¥169,000 / 泊 (2名1室・蟹の季節を含む)

なぜ選ばれるか
湯の町の賑わいから川一本隔て、蟹に集中できる環境が整っている宿です。二千坪の敷地に客室はわずか十六室で、すべての客室にガラス張りの檜展望風呂を備えています。湯船に浸かったまま、ゆったり流れる円山川と対岸の山の稜線を眺められます。冬の蟹フルコースは11月6日から3月末までで、一人につき蟹を二杯使います。到着時に生きた蟹を見せ、調理法を客の好みに合わせて仕立てるのが流儀です。海の幸は近くの津居山港で揚がったものが中心。夕食は掘りごたつ式の個室席「陶祥」と、カウンターとテーブル席の「雲水」で供されます。蟹の膳を落ち着いて囲める席の作りも、選んだ理由の一つです。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、客室の檜展望風呂から見る川の景色と、蟹の量と鮮度に評価が集まっています。人の多い湯の町から離れた静けさを好む声も目立ち、夫婦の記念日の利用が多い印象です。一方で、湯は加水・加温・循環ろ過で、源泉かけ流しを求める人には物足りなさが残る傾向があります。城崎の外湯巡りを主目的にする場合、駅との送迎や夜の送迎便を使っての移動になることも、受け止めが分かれる点です。
向く人 / 向かない人
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向く:
蟹を主目的にする夫婦旅や記念日の旅、客室の風呂で静かに過ごしたい人、湯の町の喧騒を避けたい人 -
向かない:
源泉かけ流しにこだわる人(加水・加温・循環ろ過)、外湯を何度も歩いて巡りたい人(温泉街までは送迎か車での移動)、予算を抑えたい旅(蟹の季節は価格帯が上がる)
具体情報
- アクセス: JR城崎温泉駅から送迎またはタクシーで約10分(送迎は要予約)。夕食後に温泉街との往復便あり
- 客室: 全16室、全室に檜展望風呂。2階和洋室は49㎡、ほかに12畳・8畳の和室と広縁
- チェックイン: 14:00〜 / アウト 〜11:00
- 食事: 夕食は個室席またはカウンター・テーブル席。蟹フルコースは11月6日〜3月末、21時台に夜鳴きそば(ラーメンの夜食)の無料提供
- 温泉: 城崎円山川温泉、アルカリ性単純温泉(pH9.90)。大浴場「みなもの湯」と無料の貸切風呂2つ
- 冬季: 例年12月〜3月は冬用タイヤかチェーンが必要
4. 日和山ホテル金波楼 — 豊岡市瀬戸
日和山の岬に建ち、津居山漁港から毎日魚介を仕入れる大型旅館。湯上がりの黒豆茶まで、山と海の旅の締めにかなう一軒です。
70室、温泉旅館(二泊目の別案)。
目安価格 ¥73,000–¥109,000 / 泊 (2名1室・蟹の季節を含む)

なぜ選ばれるか
津居山の港に近い日和山の岬で、港の魚を軸に献立を組む宿だからです。料理長の上田正一氏のもと、「漁師の街 津居山」から毎日仕入れる魚介と但馬牛、但馬の四季の野菜を使います。冬は地物のタグ付き松葉がにを二匹使う「活松葉がにづくし」(11月12日〜3月20日)や、かにすきのフルコース(11月7日〜)が軸になります。湯は単独の自家源泉、日和山温泉。二万年前の地層から湧く塩分の濃い湯で、体が一度温まると長く冷めにくいことから「熱の湯」とも呼ばれます。湯上がり処には黒豆茶が置かれ、前日の篠山を思い出させてくれます。銀花より客室が多く価格帯も一段下がるため、日程の取りやすさで選ぶ別案として加えました。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、露天風呂と客室から眺める日本海の景色、蟹料理の満足度に評価が集まっています。三世代や家族での利用も多く、送迎やウェルカムドリンクなど、館内のもてなしの細やかさを挙げる声も目立ちます。一方で客室数が多い大型旅館のため、小さな宿の静けさを求める人には賑やかに感じられる傾向があり、客室の新しさは棟や階によって差が出ます。眺望を重視するなら、客室タイプを選んで予約するのが確実です。
向く人 / 向かない人
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向く:
海を眺める露天風呂と蟹の両方を求める人、三世代や家族の旅、隣の城崎マリンワールドと組み合わせたい旅程 -
向かない:
小規模な宿の静けさを優先する人(客室70室の大型旅館)、長湯をしたい人(塩分の強い湯で湯あたりしやすい)、城崎の外湯を歩いて巡りたい人
具体情報
- アクセス: JR城崎温泉駅から無料送迎で約10分(行き帰りとも要予約)、タクシー約5分
- 客室: 全70室。上層フロア「時じく」は36〜83㎡、和室は36〜63㎡
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00(プランにより異なる)
- 食事: 夕食は会席。冬は松葉がにのコース、通年で但馬牛の会席
- 温泉: 自家源泉 日和山温泉、ナトリウム・カルシウム‐塩化物泉。入浴は15:00〜翌1:00、6:00〜10:00
- その他: 城崎マリンワールドの優待券あり。車いすの貸出2台
5. 休暇村竹野海岸 — 豊岡市竹野町
北前船の寄港地だった竹野の入江を見下ろし、近隣の港から届く松葉ガニを無理のない価格で囲める公共の宿です。
48室、公共の宿・リゾートホテル(二泊目の別案)。
目安価格 ¥43,000–¥65,000 / 泊 (2名1室・蟹の季節を含む)

なぜ選ばれるか
城崎から西へ一つ岬を越えた竹野は、江戸から明治末期まで北前船の寄港地として栄えた港町で、焼杉板の路地がいまも続きます。この宿は山陰海岸国立公園の入江を見下ろす丘に建ち、鬼エビ、黒アワビ、活けイカ、ノドグロ、松葉ガニといった魚介が、香住港や柴山港など近隣の漁港から直送されます。冬は活け松葉がにのフルコースが用意され、秋に解禁される紅ずわいの香住蟹とも比べられます。津居山にこだわらず但馬の港の蟹を気取らずに味わう、予算を抑えた二泊目の選択肢として加えました。
集約レビューの傾向
公開レビューデータを集計すると、露天風呂からの海の眺めと朝食ビュッフェへの評価が安定しており、価格に対する満足度の高さが特徴です。家族連れの利用が多く、館内は明るく開放的な雰囲気です。一方で、客室は簡素な造りで、料理旅館のような細やかな献立や個室での食事を求める人には物足りなさが残る傾向があります。蟹のコースは選ぶプランによって内容に差が出るため、予約時に確かめておきたいところです。
向く人 / 向かない人
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向く:
予算を抑えて蟹を味わいたい人、子連れや三世代の旅、竹野の港町を歩きたい人、二泊目を連泊にしたい旅程 -
向かない:
個室や部屋での食事を求める人、客室の設えに上質さを求める記念日の旅、津居山港の蟹にこだわる人(近隣の香住港・柴山港などから仕入れる)
具体情報
- アクセス: JR山陰本線 竹野駅から送迎バスで約5分(到着時刻を事前に連絡)。北近畿豊岡自動車道 豊岡出石ICから一般道で北へ
- 客室: 全48室(和室37室・洋室ツイン11室、うちバリアフリー対応1室)、全室禁煙
- チェックイン: 15:00〜 / アウト 〜10:00
- 食事: 夕食は旬の会席(冬は松葉ガニのコース)、朝食は和洋ビュッフェ
- 温泉: 敷地内の自家源泉「漁火の湯」、カルシウム・ナトリウム‐塩化物・硫酸塩泉。海抜約70mから入江を望む露天風呂とサウナ
三日目 — 港の朝を歩いて、帰路へ
朝は津居山の港か竹野の浜を歩き、港の空気を吸ってから帰路につきます。城崎温泉の外湯に立ち寄るなら、朝の早い時間が比較的空いています。帰りは往路をそのまま戻っても、豊岡から出石に寄って皿そばで昼を済ませてもよいでしょう。一泊目に篠山で買い求めた黒豆を、旅の終わりに台所で炊く。師走に新豆が出回る頃、もう一度この道を思い出すはずです。
よくある質問
Q. この行程に向く時期はいつですか?
A. 蟹を軸にするなら、雄の松葉ガニの漁が解禁される11月6日以降です。漁期は翌年3月20日まで続きます。篠山の黒枝豆は10月の二〜三週間が旬、乾燥させた黒大豆の収穫と出荷は12月が最盛期です。霜月の末は、枝豆の季節を過ぎ新豆が出る手前の時期にあたり、猪鍋と蟹がともに旬を迎えます。編集部が推すのは、11月中旬から12月上旬の平日です。
Q. 予約はいつ頃から動けばよいですか?
A. 二泊目の蟹の宿は、解禁直後の11月と年末年始から埋まり始めます。とくに客室の少ない銀花は、週末を早めに押さえておくのが無難です。一泊目の近又は全六室のため、二泊目の宿が決まり次第、日付を合わせて予約すると行程が組みやすくなります。キャンセル料の規定は宿ごとに異なり、近又は14日前から発生します。
Q. 子連れでも泊まれますか?
A. 子連れなら、休暇村竹野海岸と日和山ホテル金波楼が向きます。休暇村には4歳から小学生向けの子ども料理があり、金波楼は三世代向けのプランや隣接する水族館の優待券を用意しています。篠山城下町ホテル NIPPONIA は6歳まで添い寝できますが、段差の多い古民家です。近又と銀花は、大人の旅を想定した宿と考えてください。
Q. 車がなくても回れますか?
A. 回れます。一泊目はJR福知山線の篠山口駅が起点で、近又へはバス、NIPPONIA は駅からの送迎(要予約)を使います。二泊目へは篠山口から福知山線と山陰本線を乗り継いで城崎温泉駅や竹野駅へ向かい、各宿の送迎を利用します。ただし二日目の移動は乗り継ぎに時間がかかるため、車のほうが行程に余裕が生まれます。
Q. 温泉に入れるのはどの宿ですか?
A. 温泉があるのは二泊目の三軒です。銀花はアルカリ性単純温泉で全室に檜展望風呂、金波楼は塩分の濃い自家源泉の日和山温泉、休暇村竹野海岸は自家源泉の「漁火の湯」です。一泊目の近又と NIPPONIA には温泉がありません。山の宿では膳を、海の宿では膳と湯を味わう組み立てになります。
本記事の参考情報
・丹波篠山市発祥「丹波黒」の出荷が最盛期を迎えています(丹波篠山市の発表) — 黒大豆の収穫・出荷の時期
・兵庫県「県民だより兵庫」2025年10月号 — 丹波篠山の黒枝豆の収穫期
・Wikipedia: 津居山港 — 円山川河口の漁港の背景
・Wikipedia: ぼたん鍋 — 猪鍋の名の由来と諸説
編集部から
五軒に共通する選定の軸は、宿が土地の旬を自分たちの言葉で膳に載せているかどうかでした。篠山では四百年の帳場が守る味噌と、古民家で供されるフレンチという二つの答えを並べ、但馬では川の宿、岬の宿、入江の宿という三つの立ち位置から蟹を待つ場所を選んでいます。中国道から舞鶴若狭道、北近畿豊岡自動車道へと北上する道は、丹波の盆地から日本海までを半日でつなぎます。山の脂と海の甘み、どちらを旅の主役に据えるか。あなたなら、一泊目と二泊目のどちらに重心を置くでしょうか。